演題

高齢者大腸癌手術における術前栄養状態評価と術後合併症

[演者] 竹下 惠美子:1
[著者] 榎本 俊行:1, 長尾 さやか:1, 高橋 亜紗子:1, 中村 陽一:1, 渡邊 良平:1, 渡邉 学:1, 片田 夏也:1, 斉田 芳久:1, 草地 信也:1
1:東邦大学医療センター大橋病院 外科

【目的】Prognostic nutritional index (PNI)は消化管吻合の可否判断や癌患者の予後に関連すると報告されている. 今回われわれは, 高齢者の大腸癌切除症例におけるPNIの意義について検討した. 【方法】2011年1月から2016年12月までに当科で原発性大腸癌の診断にて腹腔鏡下切除術(消化管吻合を伴う)を施行した80歳以上127例における患者背景, 病理組織学的因子, 術前予後栄養指数と短期周術期成績の関連について検討した. 【成績】年齢は80-95歳 (平均84.0歳),男性58例, 女性69例. 術前併存疾患の有病率は77.9%. 術前平均BMI 22.2 ± 3.3 kg/mm2 , ASA PS1:4例,PS2: 79例, PS3:42例 (不明2例). 術前平均Alb値は3.70 ± 0.57 g/dL, 術前平均Creは0.94 ± 0.55 mg/dLであった. 腫瘍占拠部位は右側結腸58例, 左側結腸68例, double cancer 1例. 組織型はwell: 59例, mod: 56例, por: 4例, その他: 8例. 病期はstage 0: 1例, stage Ⅰ: 34例, stage Ⅱ: 53例, stage Ⅲa:23例, stage Ⅲb:8例, stage Ⅳ: 8例. 術後在院平均日数は14.8 ± 18.6日(中央値9日).平均手術時間は206 ± 77分, 平均出血量は64 ± 106mlであった. 小野寺の術前予後栄養指数 (Onodera-prognostic nutritional index: O-PNI)の平均値は44.9 ± 7.0 (中央値44.6)で, O-PNI≦40: 28例, 40<O-PNI<45: 38例, 45≦O-PNI: 58例(不明3例)であった. O-PNI<45と45≦O-PNI症例間の比較では, 術後在院日数は平均17.3日 vs 12.3日, 術後合併症発生率は30.3% vs 22.4%で, 統計学的に有意差を認めなかった. 縫合不全は7例に認め, 全例が左側結腸, O-PNI<45症例であった.
【結論】当科における80歳以上大腸癌腹腔鏡下切除症例の7割は併存疾患を有し, O-PNI<45の症例が約半数を占めた. O-PNIと術後合併症発生率には有意差を認めないものの, 縫合不全例では全例O-PNI<45であった. 年齢を考慮した基準点の設定が必要であると考えられるが, 予後栄養指数が縫合不全等の合併症予測に有用である可能性が示唆された.
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