演題

高齢者における単孔式腹腔鏡下結腸切除術に内臓脂肪が及ぼす影響について

[演者] 玉井 皓己:1
[著者] 西村 潤一:1, 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 水島 恒和:1, 山本 浩文:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

【はじめに】我々は,単孔式腹腔鏡手術 (SLC)と肥満の関係に着目し,内臓脂肪量が手術成績に影響を及ぼすことを報告してきた.今回,安全性の報告は多く認めるものの手術リスクについての報告の少ない高齢者手術症例に着目した.
【目的】高齢者手術症例における内臓脂肪の影響を検討すること.
【対象と方法】2009年6月~2015年6月に,盲腸から直腸S状結腸部までの大腸腫瘍に対しSLCを行った65歳以上75歳未満の高齢者群108例,75歳以上の後期高齢者群82例を対象とした.内臓脂肪量 (VFA)は術前CT検査を用いてFatScanにて測定した.過去の報告からVFA100 cm2をカットオフ値とし,高VFA群と低VFA群に分類し,SLC完遂困難 (開腹+ポート追加)率と術後合併症率を中心に,周術期成績について検討した.
【結果】高齢者群のVFA中央値は92.2 (18.5-235.3) cm2,高VFA40例,低VFA68例であった.後期高齢者群のVFA中央値は88.7 (11.3-175.2) cm2,高VFA31例,低VFA51例であった.65歳未満と65歳以上の高VFA群どうしの比較ではSLC完遂困難 (p=1.00),術後合併症発生 (p=0.77)について有意差を認めなかった.SLC完遂が困難であった症例は,高齢者群 (高VFA9例 (22.5%),低VFA2例 (2.9%),p<0.01),後期高齢者群 (高VFA4例 (12.9%),低VFA4例 (7.8%),p=0.47)であった.術後合併症については,高齢者群では高VFA群と低VFA群で有意差を認めず (3例 (7.5%),5例 (7.4%),p=1.00),後期高齢者群では有意に高VFA群に多く認めた(高VFA7例 (22.6%),低VFA1例 (2.0%),p<0.01).後期高齢者群の高VFA群で合併症を生じた7例中6例は80歳以上であった (80歳以上の高VFA症例16例中6例 (37.5%)に合併症を有する).
【結語】内臓脂肪が蓄積した65歳以上の症例であっても,65歳未満の症例と同様に単孔式腹腔鏡手術が達成可能であることが示された.ただし,80歳以上の内臓脂肪蓄積症例は術後合併症率が高いため,慎重な術後管理を要することが示唆された.
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