演題

80歳以上の高齢者大腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術の検討

[演者] 平井 健次郎:1
[著者] 藤田 覇留久:1, 桃野 鉄平:1, 近藤 祐平:1, 青山 紘希:1, 横山 大受:1, 平田 渉:1, 大江 秀典:1, 岡部 寛:1, 光吉 明:1
1:大津市民病院 外科

【背景】高齢化社会の進行に伴い, 高齢者に対する大腸癌手術は年々増加している. 当施設では, 高齢者に対しても全身状態が良好で根治切除可能であれば腹腔鏡手術を第一選択とし, 併存疾患を有している症例で合併症が危惧される場合はD2郭清を行う方針としている.【目的】高齢者大腸癌症例に対する腹腔鏡下大腸切除術の治療成績を検討する.【対象と方法】2015年1月から2016年11月に原発性大腸癌に対し当施設で腹腔鏡下大腸切除術を施行した137例を対象とした. 80歳以上の高齢者群22例と79歳以下の非高齢者群115例に分類し, 後方視的に比較検討した.【結果】高齢者群と非高齢者群の年齢 (平均値) は85歳 vs 66歳, 男性 (%) は50 vs 61 (p=0.34)と差はなく, BMIは20.4 kg/m2 (16.6-26.4) vs 22.9 kg/m2 (14.6-40.1) (p=0.01) と高齢者群で有意に低値であった. 糖尿病や高血圧など術前併存疾患を有する症例 (%) は100 vs 74 (p=0.01) と高齢者群で有意に多かった. ASA-PS Ⅲ度 (%) は23 vs 13 (p=0.24) で有意差はなかった. 腫瘍因子ではRSを除く直腸(Ra, Rb)癌 (%) は4.6 vs 27.0 (p=0.023) と高齢者群で低く, cStage 0-Ⅱ(%) は64 vs 55 (p=0.44) と有意差はなかった. 手術関連因子では, 開腹移行率は4.6 vs 0.9 (p=0.188), 手術時間は235分(150-517) vs 278分(143-617) (p=0.07), 出血量は20g (0-210) vs 10g (0-845) (p=0.46) と同等, D3郭清 (%) は55 vs 81 (p=0.008) と高齢者で少なく, 郭清リンパ節個数は13個 (1-24) vs 16個 (1-55) (p=0.10), 人工肛門造設 (%) は9.1 vs 15.7 (p=0.42)であった. 術後関連因子では, 飲水開始日は1日 (1-1) vs 1日 (1-3) (p=0.45), 食事開始日は2 (2-6) vs 2 (2-16) 日 (p=0.40) で有意差を認めなかった. 入院期間は14日 (9-55) vs 13日 (7-91) (p=0.38), 術後在院日数は11日 (7-27) vs 11日 (6-89) (p=0.83) であった. Clavien-Dindo分類Grade2以上の術後合併症 (%) は4.8 vs 15.0 (p=0.21), 縫合不全 (%) は0 vs 5.2 (p=0.27), 術後せん妄 (%) は4.6 vs 0.9 (p=0.19) と同等であった. 両群で術後30日以内の手術関連死亡例は認めなかった.【結語】80歳以上の高齢者に対する腹腔鏡下大腸切除術は, 併存症を有意に多く有していたものの, 郭清をひかえることで安全に施行可能であった.
詳細検索