演題

潰瘍性大腸炎の回腸嚢肛門管吻合術における残存大腸粘膜増加の危険因子

[演者] 木村 英明:1
[著者] 井上 英美:1, 国崎 玲子:1, 辰巳 健志:2, 小金井 一隆:2, 杉田 昭:2, 遠藤 格:3
1:横浜市立大学附属市民総合医療センター 炎症性腸疾患(IBD)センター, 2:横浜市立市民病院 炎症性腸疾患科, 3:横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学

目的:潰瘍性大腸炎における回腸嚢肛門管吻合術は,回腸嚢肛門吻合術と比較して術後肛門機能が良好で吻合部合併症が少ないとされるが,特に吻合部が高位となり大腸粘膜の残存が広範になると粘膜の炎症再燃や将来の大腸癌発生が危惧される.回腸嚢肛門管吻合術において高位吻合となる危険因子について検討した.
方法:2000年から2016年に当科で初回手術をおこなった潰瘍性大腸炎410例のうち,1期的手術で,かつ手術時に歯状線から吻合部の距離を測定した106例を対象とした.手術適応は,難治99例,重症5例,dysplasia2例.男性64例,女性42例,手術時年齢37.5歳.腹腔鏡補助下手術(Hand assist+骨盤内video assist)91例,開腹手術15例.直腸後壁側は尾骨直腸間筋線維(=hiatal ligament)を切離して肛門挙筋まで剥離したのち,縫合器で切離,double stapling techniqueで吻合した.対象例の吻合部から歯状線の距離(中央値)は前壁側2.0cm,後壁側1.0cmであった.これより,前壁側2.0cmをこえる例を高位吻合例とした.高位吻合例と低位吻合例で臨床諸因子を比較検討した.
結果:単変量解析で,性別で有意差はなかった.高位吻合例で年齢が高く(高位:低位=42歳:35歳,p=0.14),BMIが高く(22.3:18.8,p<0.01),腹腔鏡補助下手術が多かった(33/91例:0/15例,p<0.01).多変量解析ではBMI高値(p<0.01)のみが有意な危険因子であった.
結語:肛門管吻合術は,BMIの高い例で残存大腸粘膜が広範となっていた.BMIの高い例では,大腸癌の発生リスクや直腸炎の程度を踏まえて術式を選択する必要があると思われた.
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