演題

WS03-4

胃癌手術による腹膜播種再発の病態とその治療戦略

[演者] 村田 聡:1,2
[著者] 竹林 克士:1, 山口 剛:1, 貝田 佐知子:1, 大竹 玲子:1, 園田 寛道:1, 飯田 洋也:1, 三宅 亨:1, 清水 智治:1, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学附属病院 消化器外科, 2:滋賀医科大学附属病院 腫瘍センター

【背景】
これまでの研究により,胃癌手術時に癌細胞の腹腔内散布があること,散布癌細胞はviableで,腫瘍形成能があり,術後腹膜播種再発に関係していることなどを示してきた.腹膜播種に対する,さらなる病態解明の一環として,腹腔内散布癌細胞と癌幹細胞との関係を検証し,その治療戦略として,胃癌治癒手術時に施行する腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の治療効果を検討した.
【患者と方法】
2010年から2015年の間に胃癌治癒手術(R0)を施行しpT2(MP)以深の進行胃癌症例で,胃癌手術前の腹腔内洗浄液(PW-Pre)を用い,細胞診陰性(CY0)かつ細胞培養陰性(CCC(-))の94例を対象とした.腹腔内散布癌細胞に対して抗CD44抗体による免疫細胞染色を行い,癌幹細胞様細胞の含有を調べた.胃癌手術後の腹腔内洗浄液(PW-Post)の細胞培養陽性(CCC(+))48例と陰性(CCC(-))46例を,それぞれHIPEC施行の有無により,胃癌無再発生存率(RFS)と全生存率(OS)を比較した.HIPECは胃癌治癒手術後,腹腔内を温生食5LとともにMMC, CDDP, 5-FUを混和し,42℃から43℃に腹腔内を加温し30 分間腹腔内を灌流させた.
【結果】
腹腔内散布癌細胞に,CD44陽性癌幹細胞様細胞が含まれていた.検討症例の内訳は,PW-Post CCC(+)では,HIPECありが26例,HIPECなしが22例,pT2/3/4a/4bはHIPECありが7/6/13/0例,HIPECなしが6/8/7/1例,pN0/1/2/3はHIPECありが10/1/7/8例,HIPECなしが6/6/5/5例だった.PW-Post CCC(+)の5年腹膜RFS,5年肝RFS,5年リンパ節RFSは,それぞれ,HIPECありが93.3%,100%,68.5%,HIPECなしが56.7%,35.6%,66.7%であり(P = 0.008, P = 0.008, P = 0.244),HIPEC施行群が有意に腹膜再発と肝再発を抑制していた.5年OSはHIPECありが63.7%,HIPECなしが34.4%であり(P = 0.018),HIPEC施行群が有意に予後良好だった.PW-Post CCC(-)では,HIPECあり28例,HIPECなし18例,全例で癌再発を認めなかった.5年OSはHIPECありが89.9%,HIPECなしが83.0%であり(P = 0.50),両群の予後に有意差はなかった.
【結語】
1) 腹腔内散布癌細胞には癌の転移に強く関与するとされる癌幹細胞様細胞が含まれていた.2) 胃癌R0手術後の,CCC(+)例に対してHIPECを施行すると,腹膜再発,肝再発が抑制でき,生存率が有意に改善した.3) CCC(-)例では癌再発がなく,胃癌手術後PW-Postの細胞培養結果は,再発予測の重要なバイオマーカーになる可能性がある.
詳細検索