演題

永久回腸人工肛門造設術を施行した潰瘍性大腸炎症例の臨床経過

[演者] 小原 尚:1
[著者] 小金井 一隆:1, 辰巳 健志:1, 二木 了:1, 黒木 博介:1, 杉田 昭:1
1:横浜市立市民病院 炎症性腸疾患科

【背景】潰瘍性大腸炎(UC)に対する標準術式は,大腸全摘,回腸嚢肛門管吻合術または回腸嚢肛門吻合術である.一方,永久回腸人工肛門造設術を必要とする症例もある.
【目的】永久回腸人工肛門造設術を施行したUC手術例の臨床経過と予後を明らかにする.
【方法】前述の手術を行った40例を対象とし,適応や術後経過を検討した.
【結果】男性25例,女性15例で,発症時年齢は平均値は60歳(15~88歳)であった.手術時年齢平均値は70歳(42~89歳)で,70歳以上が28例,70歳未満が12例であった.手術適応は重症が14例,難治が14例,癌/high grade dysplasiaが12例であった.直腸切断術を34例,ハルトマン手術を6例に施行した.永久回腸人工肛門造設術の適応は,のべ症例数で,70歳以上では,肛門機能低下16例,PS不良7例,肛門狭窄2例,肛門管瘻孔2例,肛門管dysplasia1例,超高齢(87歳)1例であり,70歳未満では,肛門機能低下4例,PS不良3例,直腸肛門管癌3例,肛門狭窄2例,肛門管瘻孔1例,痔瘻1例,膣瘻1例であった.術前に,ステロイドが33例に,血球成分除去療法が19例に,免疫調節薬が14例に,生物学的製剤が8例に使用されていた.併存疾患は28例(70%)にみられ,のべ症例数で,心疾患5例,不整脈2例,血栓症9例,高血圧9例,糖尿病8例,呼吸器合併症7例,関節術後4例,脳梗塞3例であった.術後合併症は29例(72%)に認め,のべ症例数で,骨盤内感染8例,会陰創感染が3例,正中創SSIが10例,イレウスが6例,ハルトマン断端離解が3例,一過性排尿障害が3例,肺炎が2例,腹壁瘢痕ヘルニアが4例,正中創離解が1例,傍ストマヘルニアが2例,肺塞栓が1例,カテーテル感染が1例,十二指腸潰瘍出血が1例,後出血が1例であった.術後在院日数は平均38日で,転帰は自宅退院が39例,他院転院が3例であった.術後肺炎によるARDS,DICを発症した70代の1例と,肺塞栓を発症した80代の1例は在院死した.退院後は,術後観察期間平均40か月で,癌再発の2例が死亡した.退院後経過が不明な2例を除く34例のうち,最終観察時に,1例はリハビリ病院入院中であったが,33例は日常生活を送ることが可能であった.また,最終受診時に60歳未満であった5例中3例が就労していた.
【結語】潰瘍性大腸炎に対する永久回腸人工肛門造設術は,術後合併症があるものの,直腸肛門管癌合併例以外の長期経過は比較的良好であり,適応のある症例には施行すべきと考えられた.
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