演題

炎症性腸疾患に対する骨盤内手術後の骨盤死腔炎予防に対する会陰開放創管理の安全性,有効性の検討

[演者] 安井 講平:1
[著者] 石黒 成治:1, 小松 俊一郎:1, 宮地 正彦:1, 金子 健一朗:1, 有川 卓:1, 齊藤 卓也:1, 駒屋 憲一:1, 大澤 高陽:1, 佐野 力:1
1:愛知医科大学病院 消化器外科

【背景】炎症性腸疾患を有する患者の大腸全摘術やMiles手術などの骨盤内大腸を切除する術式において,骨盤死腔炎 の発生は患者のQOL低下や在院日数の延長,ひいては医療経済的にも問題となる合併症である.現在まで様々な方法で 骨盤死腔炎の予防策が検討されている.【方法】術前に存在していた痔瘻,膿瘍のために感染のリスクが高いと判断さ れたため,会陰切除後に会陰創を解放したままの術創管理(laid open management)を行った5例の炎症性腸疾患患者に対 して骨盤死腔炎予防に対する有効性と安全性を検討した.【結果】原疾患はクローン病4例,潰瘍性大腸炎1例であっ た.laid open management を採用した理由は痔瘻形成および肛門周囲膿瘍であった.2例に大腸全摘+回腸瘻造設,2例に 回腸嚢切除+回腸瘻造設,1例にMiles 手術が施行された.1例は術直後から会陰創に対してVacuum assisted closure 法を 併用した.術後合併症は腸閉塞を1例,回腸人工肛門のOutlet 症候群を1例,回腸人工肛門周囲の膿瘍形成を1例に認め たが,骨盤死腔炎の発症は1例も認めなかった.会陰からの小腸の脱出も認めなかった.入院期間中央値25日(19-82)で 会陰創を解放したまま全例退院した.1例は活動性のクローン病に伴う低栄養のために腹壁との間に難治性の腸管皮膚 瘻を形成し会陰創は閉鎖しなかった.その1例を除き,4例は自然閉鎖し会陰にパッドを必要としなくなるまでの期間の 中央値は85日(45-126),上皮化するまでの期間の中央値は131日(94-167)であった.【結語】炎症性腸疾患を有する患者 において骨盤死腔炎予防としてのlaid open managementは有効な手段である.しかし現疾患の病勢により難治性の潰瘍, 瘻孔となる危険があり,その適応についてさらなる症例の検討が必要である.
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