演題

腸管切除リスクスコアによる潰瘍性大腸炎術後合併症リスク評価の有用性

[演者] 池端 昭慶:1
[著者] 岡林 剛史:1, 長谷川 博俊:1, 鶴田 雅士:1, 石田 隆:1, 森田 覚:1, 山高 謙:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

目的
潰瘍性大腸炎(UC)の罹患者数は増加傾向であり,それに伴い手術症例も増加している.近年では内科的治療が奏効し炎症がある程度コントロールできるようになり,より重症な症例や,緊急手術となる症例の割合が増加している.結果的に,栄養状態や免疫力が低下した症例を扱うことが多くなっており,より的確な周術期リスク評価が求められている.近年,潰瘍性大腸炎患者の重症度とその後の手術の必要性を予見する指標として腸管切除リスクスコアの有用性が報告された.本研究では,この腸管切除リスクスコアの潰瘍性大腸炎術後合併症リスク評価への有用性について検討した.
方法
2002年2月から2016年8月の間に当院でUCに対し,初回腸管切除を施行した147例を対象とした.0点から9点までで算出される腸管切除リスクスコアを基に,3群(中等リスク[2点から3点],高リスク[4点から6点],超高リスク[7点から9点])に割り付けした.術後合併症発生率を主解析項目とし,3群間における術後合併症率との関連について検討した.
結果
年齢中央値44歳(18-75),男性89人,女性は58人であった.術後合併症を,中等リスク群で35例中12例(34%),高リスク群で56例中23例(41%),超高リスク群で52例中34例(65%)に認めた.超高リスク群で有意に高かった[オッズ比(OR)3.6,95%信頼区間(CI)1.47~8.92,p=0.05].主たる内訳は,SSI18例(12.2%),腹腔内膿瘍20例(13.6%),腸閉塞23例(15.6%),縫合不全11例(7.5%)であった.Clavien-Dindo分類GradeⅢ以上の合併症発生率も超高リスク群で有意に高かった(OR3.8,95%CI1.36~10.8,p=0.011).また,静脈血栓塞栓症(VTE)に関しては,中等リスク群0例,高リスク群56例中5例(8.9%),超高リスク群52例中4例(7.7%)であった(OR0.8,95%CI0.34~1.93,p=0.634).統計学的有意差は認めなかったが高リスク群以上での発症を認めた.
結論
腸管切除リスクスコアは,UC術後合併症の予測に有用であると考えられた.高リスク以上の患者では,術式の選択や手術時期の検討でより慎重な対応が求められる.
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