演題

潰瘍性大腸炎に対する外科治療戦略の変遷と展望

[演者] 吉田 達哉:1
[著者] 三浦 卓也:1, 坂本 義之:1, 諸橋 一:1, 長谷部 達也:1, 袴田 健一:1
1:弘前大学大学院 消化器外科学

緒言:潰瘍性大腸炎(UC)に対する内科治療の進歩に伴い,外科治療を要する症例は減少傾向にあるとされているものの,未だ外科治療の果たす役割は大きい.また生物学的製剤の登場に伴い治療介入時期などは様変わりしつつある.今回,当科におけるUCに対する治療の変遷と治療成績から,現治療戦略の妥当性を検討する.対象:1998年1月から2016年10月まで当科で手術を施行したUC 123例の手術理由と手術内容(回数・吻合法),術後成績を比較した.結果:男性69例,女性54例,平均年齢は42歳であった.生物学的製剤適応の前後で手術理由について比較すると,緊急有症状例の割合が36/92(39%) vs 4/31(12%)であり,colitic cancer / dysplasiaに関しては5/92(5%) vs 11/31(35%)と変化が見られた.また当科では前期に大腸亜全摘と二期的再建,中期で一期的開腹大腸全摘と再建,最近では腹腔鏡下大腸全摘,回腸嚢肛門吻合+予防的回腸ストーマ造設を行っている.早期合併症を比較するとclavian-dindo Ⅲ(C-DⅢ)以上では6/62(9.6%) vs 13/48(27.0%) vs 0/13(0%) (p=0.029)と後期は重篤な合併症が少なかった.中/後期における吻合法間のC-DⅢ以上合併症の比較ではIACA vs IAA:13/76(17.1%) vs 3/33(9.1%) (p=0.257)と有意差を認めなかった.到達法の違いによる手術時間は開腹 vs 腹腔鏡では179.3分 vs 287.8分 (p<0.01),出血量も398ml vs 79ml (p<0.01)と腹腔鏡で手術時間は長く,出血量は少なかった.C-DⅢ以上の合併症では11/40(27.5%) vs 1/16(6.3%) (p=0.06)と腹腔鏡で重篤な合併症が少なかった.結語:生物学的製剤の登場により,UCに対する手術理由は大きく変化している.長期罹患患者が増え,癌化症例が増えると予想され,吻合法による合併症の差が無いことを考慮すると,IAAによる再建が望ましいと考えられる.腹腔鏡手術は手術時間が長くなるものの,合併症の差は無くUC手術においても有用であることが示唆された.
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