演題

WS03-3

胃癌腹膜播種特異的関連分子を標的とした新たな診断および治療アプローチの提案

[演者] 神田 光郎:1
[著者] 小林 大介:1, 田中 千恵:1, 山田 豪:1, 藤井 努:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 小池 聖彦:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

背景;進行胃癌は根治的胃切除術後も高頻度に再発するため,いまだ予後不良である.なかでも腹膜播種再発は難治性であり,あらたな診断および治療アプローチの開発が望まれている.
方法;根治的胃切除術が施行されたStage III胃癌症例で,長期無再発群,腹膜播種再発群,肝転移再発群,リンパ節再発群の4群を対象にTranscriptome解析を行い,腹膜播種症例で特異的に高発現する候補分子を抽出した.胃切除術を施行した340例から得た組織中の候補分子発現度を定量的PCR法で調べた.乱数表を用いて,Discovery setとValidation setに1:2割り付けを行い,至適カットオフ値および臨床病理学的因子との相関性について検討した.胃癌細胞株を対象に,siRNA法を用いたノックダウンによる増殖能,遊走能,浸潤能,5-FU感受性への影響を評価した.マウス腹膜播種モデルを用いて,siRNA腹腔内投与の腹膜播種治療効果を検討した.
結果;腹膜播種特異的高発現分子としてSynaptotagmin VIII (SYT8)を同定した.Discovery setで胃癌原発巣組織中SYT8発現量のカットオフ値として0.005と設定した.Validation setでは,原発巣組織中SYT8発現量は同時性あるいは異時性腹膜播種症例で高値であった.高SYT8群は有意に予後不良であり,高SYT8は腹膜播種再発の独立危険因子であった.Stage II/III症例でのサブグループ解析において高SYT8群では,術後補助化学療法による予後改善効果が乏しかった.SYT8の阻害により胃癌細胞の浸潤能,遊走能および5-FU耐性が低下した.腹腔内siRNA投与により腹膜播種結節形成が抑制され,マウスの生存期間は有意に延長した.
結語;SYT8は,胃癌腹膜播種の有望な診断マーカーおよび治療標的分子であると考えられた.
詳細検索