演題

潰瘍性大腸炎合併大腸癌に対する回腸嚢肛門管吻合術後に発生した残存肛門管癌

[演者] 辰巳 健志:1
[著者] 杉田 昭:1, 小金井 一隆:1, 二木 了:1, 黒木 博介:1, 小原 尚:1, 山田 恭子:1, 木村 英明:2, 荒井 勝彦:1, 福島 恒男:3
1:横浜市立市民病院 炎症性腸疾患科, 2:横浜市立大学附属市民総合医療センター 炎症性腸疾患(IBD)センター, 3:松島クリニック

背景:近年,潰瘍性大腸炎(UC)合併大腸癌(colitic cancer:CC)症例が増加しているが,適正な術式に関しては議論の余地がある.回腸嚢の先端が肛門まで届かない症例や高齢の症例に対しては大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術(IACA)を選択することもあるが,温存した肛門管粘膜に癌/dysplasia(C/D)が発生する可能性が問題となる.しかし本邦でCCに対するIACA施行後に発生した肛門管癌を検討した報告は少ない.
目的: IACAを施行したCC症例の温存した肛門管におけるC/Dの発生率について検討する.
対象・方法: 2001年から2016年にIACAを施行したCC37症例の術後の肛門管におけるC/Dの発生率を検討した.
結果:症例は男性29例,女性8例,および全大腸炎型34例,左側大腸炎型3例で,手術時年齢は63歳(中央値:30-79),病悩期間は16.3年(中央値:0.3-31.8)であった.原発巣のStageは0:23,I:8,II:3,III:2,IV:1例であった.当施設の治療方針は,2006年以前はCCに対し原則としてIACA,2007年以降はIAAを選択している.そのため2006年以前に手術を施行した19例は施設の治療方針であったことから,2007年以後の18例は高齢,本人希望の理由からIACAを選択した.
IACAの吻合部は歯状線より口側に,前壁2.0 cm (中央値:0-4.0),後壁1.0 cm (中央値:0-4.0cm)に位置していた.術後観察期間89.6か月(中央値)で, 初回手術時に肺転移を認めた1例を除き,再発症例はなく,2例に他病死を認めた. 術後,温存した肛門管に発生したC/D症例は2例(5.4%)であった. 1例目はUC合併直腸癌のためIACAを施行後5年目の大腸内視鏡検査(CF)で肛門管粘膜よりHigh grade dysplasia(HGD)が検出されたため回腸嚢肛門切除,回腸永久人工肛門造設術を施行した.術後8年無再発生存中である.2例目はUC合併S状結腸癌のためIACAを施行後,術後5年目のCFで肛門管粘膜よりHGDが検出されたため,回腸嚢肛門切除,回腸永久人工肛門造設術を施行した.術後3か月無再発生存中である.
結語: Colitic cancerに対する回腸嚢肛門管吻合術後には肛門管にHGDが発生する症例が少なからず存在することから,現状では本症に対する回腸嚢肛門管吻合術後症例には定期的なサーベイランス内視鏡検査が必須と考えられる.
詳細検索