演題

炎症性腸疾患に対する抗TNFαバイオシミラー製剤の治療効果

[演者] 鈴木 英之:1
[著者] 三浦 克洋:1, 豊田 哲鎬:1, 和田 由大:1, 清水 貴夫:1, 大山 莉奈:1, 松信 哲朗:3, 内田 英二:2
1:日本医科大学武蔵小杉病院 消化器病センター, 2:日本医科大学付属病院 消化器外科, 3:まつのぶクリニック

【はじめに】我が国において炎症性腸疾患は増加の一途を辿っており,その治療においては高額な生物学的製剤の使用と相俟って医療費が著増し問題となっている.これに対し政府はジェネリック医薬品の使用を推奨しており,生物学的製剤にもバイオシミラー製剤(BS)が普及し始めている.しかしBSはジェネリック医薬品と異なり有効成分が同一でなく,その効果や有害事象について疑問視されることもある.【目的】潰瘍性大腸炎(UC)・クローン病(CD)に対して抗TNFα BSで治療した症例の有害事象,効果を検討する.【対象】抗TNFα BSで治療したUC12例,CD7例(先発製剤からの切り替え18例,新規使用1例).【結果】UC12例の詳細は女性3例:男性9例,年齢は28歳から79歳で平均50歳,緩解期は10例,活動期が2例,全大腸炎型6例,左側大腸炎型6例,直腸炎型0例,全例5-ASAを内服しており,ステロイド併用が2例,免疫抑制剤併用が4例,BS切り替えまでの先発製剤使用回数は5回から41回で平均22回,1回投与量は300mgから440mgで平均313mgであった.先発製剤を22回投与後にBSに切り替えた際に全身掻痒感と皮膚の発赤が生じアレルギーと判断して中止した症例が1例あり,この症例は以後先発製剤に再度切り替えその後は有害事象は発症せず効果減弱も見られていない.それ以外の11症例はすべてBS切り替え後も問題なく治療を継続できている.CDの7例は女性2例,男性5例で年齢は22歳から43歳で平均31歳,小腸型3例,大腸型1例,小腸大腸型3例であった.全例5-ASAを内服しており,ステロイド併用が2例,免疫抑制剤併用が1例,白血球除去療法併用1例,栄養療法併用2例,BS切り替えまでの先発製剤の使用回数は0回から34回で平均21回,1回投与量は300mgから750mgで平均414mgであった.倍量使用症例が2例あった.このうち2例にBS切り替え後の効果減弱(症状の悪化)がみられた.この2例はアレルギーがなかったので,投与期間を短縮して現在経過観察中である.この2例は切り替えまでの先発製剤使用回数34回,18回でいずれも免疫抑制剤・ステロイドの併用はなく,効果減弱のなかった5例と比較して際立った特徴はないように思われた.【結語】IBDの抗TNFα治療においてBS製剤は1例(5%)にアレルギー反応がみられたが,比較的安全に切り替えができた.しかしCDにおいては2例(29%)に効果減弱がみられ,注意を要すると思われた.
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