演題

クローン病の十二指腸狭窄に対する胃空腸吻合術の効果と問題点

[演者] 黒木 博介:1
[著者] 小金井 一隆:1, 辰巳 健志:1, 二木 了:1, 小原 尚:1, 荒井 勝彦:1, 福島 恒男:2, 杉田 昭:1
1:横浜市立市民病院 炎症性腸疾患科, 2:松島クリニック

【背景】クローン病(CD)の十二指腸病変の頻度は比較的多く, 狭窄のために, 手術が必要となる症例がある.
【目的】狭窄を合併した十二指腸病変に対して胃空腸吻合術を施行したCDの臨床経過を明らかにする目的で以下の検討を行った.
【対象と方法】2001年1月~2016年9月までに胃空腸吻合術を施行した自験CD20例を対象とし, 臨床背景と手術成績について検討した.
【結果】男性18例, 女性2例, 小腸大腸型18例, 小腸型2例, CD発症から十二指腸病変発症までの期間は中央値18年(6~30), 十二指腸病変の診断から胃空腸吻合術までの期間は中央値4.3カ月(0~215), 胃空腸吻合手術時年齢は中央値36歳(21~57), 胃空腸吻合術後観察期間は中央値4.5年(0~11)であった. 胃空腸吻合術前の薬物治療は5-ASA(粉末)19例(6例), 免疫調節薬3例, 生物学的製剤2例で, 狭窄部に対する内視鏡的拡張術は8例に対して行われた. 手術適応は全例十二指腸狭窄による通過障害, 経口摂取困難で, そのうち3例は十二指腸瘻を合併していた. 十二指腸狭窄部位は球部8例, 球部~下行脚8例, 球部~水平脚4例であった. 胃空腸吻合術は順蠕動19例, 逆蠕動1例, 吻合口径は中央値5.3cm(4.5~7)で全例Braun吻合は行なわなかった. 瘻孔を合併した3例では全例十二指腸の瘻孔に対して単純閉鎖を行った. 胃空腸吻合関連の術後早期合併症は吻合部狭窄4例, 腹腔内膿瘍1例, 胆管炎1例, 晩期合併症は胆管炎2例, 吻合部潰瘍を1例に認めた. 胆管炎併発例ではCT検査で胆管の拡張とpneumobiliaを認めた.観察終了時全例上部消化管症状はなく, 経口摂取は可能で通過障害も認めなかった. 1例は短腸症候群に対する在宅中心静脈栄養療法中のカテーテル関連血流感染症のために死亡した.
【結語】クローン病の狭窄を合併する十二指腸病変に対する胃空腸吻合術は経口摂取を可能とし, 通過障害を来すことはなかったが, 胆管炎の発生に留意する必要があると考えられた.
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