演題

Crohn病腸管穿孔における緊急手術症例の検討

[演者] 川村 崇文:1
[著者] 倉地 清隆:1, 石川 慎太郎:1, 小坂 隼人:1, 阪田 麻裕:1, 石松 久人:1, 原田 岳:1, 山本 真義:1, 菊池 寛利:1, 坂口 孝宣:1
1:浜松医科大学医学部 外科学第二

【背景】Crohn病の手術適応は難治性狭窄が最も多く,内外瘻孔,膿瘍と続く.緊急手術が必要となる穿孔や出血は比較的稀とされてきた.一方,抗TNF-α抗体製剤など内科的治療の進歩により手術適応までの時間延長を認めるものの,穿孔による緊急手術症例は近年増加傾向との報告もある.【目的】当科におけるCrohn病穿孔緊急手術症例を検討し特徴を明らかにする.【対象】当科で経験した2000年1月から2016年11月までの腸管病変を伴ったCrohn病手術93例(手術回数123回)のうち,穿孔,穿通で緊急手術を行った9例(手術回数11回)の年齢,性別,罹病期間,術前治療,術式,合併症について検討を行った.【結果】症例は全例男性で,手術時平均年齢は31.5歳(14~40歳),平均罹病期間は10.7年.穿孔部位は回腸が9か所,大腸が2カ所であった.発症後確定した1例と,自己中断に無治療経過1例を除き術前内科的治療は7例で行われており,抗TNF-α抗体製剤を使用していた症例は3例であった.また,初回穿孔手術後から一定期間置き再度穿孔したのは2症例であったが,初回と2回目手術の間でいずれも抗TNF-α抗体製剤を使用していた.術式は全例で穿孔腸管切除を行い,回腸穿孔例の腹腔内汚染が比較的限局していた4例では人工肛門を造設せずに腸管吻合を一期的に行っていた.術後合併症は,腹腔内膿瘍1例,創部感染4例で保存的加療が可能であった.穿孔部以外の病変部位狭窄による腸閉塞のため再手術で腸管切除術施行を1例に認めたが,穿孔部に起因する再手術例はなかった.平均術後入院期間は30.9日(14~66日)であった.【考察】抗TNF-α抗体製剤などによる内科的治療の進歩により,Crohn病患者の内科治療成績が向上し手術症例の頻度も低下している.一方,抗TNF-α抗体製剤により遊離穿孔のリスクが高まっているとの報告もある.今回の検討では穿孔を繰り返した2症例においても術後維持療法として抗TNF-α抗体製剤を使用していたが再度穿孔を起こし緊急手術を行った.Crohn病患者自体も近年増加傾向にあるため,一概に断定はできないが,抗TNF-α抗体製剤導入後必ずしも穿孔頻度は改善しておらず,抗TNF-α抗体製剤と穿孔の関連に関しては今後も注意深く観察していく必要があると考えられた.
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