演題

潰瘍性大腸炎における大腸CD103陽性樹状細胞の機能解析

[演者] 松野 裕旨:1
[著者] 西村 潤一:1, 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 山本 浩文:1, 水島 恒和:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

【はじめに】
炎症性腸疾患では,腸内細菌叢の変化や腸管上皮バリア機能の破綻,腸管粘膜固有層における自然免疫細胞の免疫応答異常が腸管炎症に関与すると考えられている.今回,我々はマウス腸管でTreg細胞を誘導すると報告されているCD103+樹状細胞に着目した.現在,炎症性腸疾患の腸管に存在するCD103+樹状細胞の機能は分かっていない.そこで,正常腸管と潰瘍性大腸炎の炎症腸管におけるCD103+樹状細胞の機能を比較検討し,潰瘍性大腸炎におけるCD103+樹状細胞の腸管炎症への関与について明らかにすることを目的とした.
【対象】
20歳以上で同意が得られた患者の切除腸管を使用した.正常腸管(NC: Normal Colon)は大腸癌手術時の切除腸管の非癌部から採取した.潰瘍性大腸炎の腸管(UC: Ulcerative Colitis)は,手術により切除した炎症部腸管から採取した.
【結果】
潰瘍性大腸炎の大腸粘膜固有層に存在するCD103+樹状細胞の割合は,正常腸管に比較して減少していた(NC: 1.7±0.2%, UC: 0.7±0.1%, P<0.01).潰瘍性大腸炎の大腸に存在するCD103+樹状細胞では,正常腸管と比較してIL10TGFBなどの抗炎症性サイトカイン発現は同程度であったが,IL6IL23A, IL12, TNFなどの炎症性サイトカイン発現は有意に上昇していた.潰瘍性大腸炎の大腸に存在するCD103+樹状細胞では,正常腸管に比較して,炎症抑制に働くTreg細胞の誘導能が有意に低下していた(NC: 8.0±0.9%, UC: 0.4±0.2%, P<0.001).一方,潰瘍性大腸炎の大腸に存在するCD103+樹状細胞では,正常腸管に比較して,炎症惹起に働くTh1細胞(IFN-γ値;NC: 1121±81pg/ml, UC: 2089±32pg/ml, P<0.0001)とTh17細胞(IL-17値;NC: 5.1±1.8pg/ml, UC: 320.6±14.1pg/ml, P<0.0001)の誘導能は有意に上昇していた.
【結論】
潰瘍性大腸炎の大腸に存在するCD103+樹状細胞では,炎症を抑制するTreg細胞の誘導能は低下しているが,炎症を惹起するTh1細胞とTh17細胞の誘導能は上昇していた.CD103+樹状細胞のT細胞誘導能の変化が潰瘍性大腸炎の腸管炎症に関与していることが示唆された.
詳細検索