演題

瘻孔型クローン病に対する鏡視下手術の適応と工夫点

[演者] 永吉 絹子:1
[著者] 貞苅 良彦:1, 藤田 逸人:1, 永井 俊太郎:1, 真鍋 達也:1, 中村 雅史:1
1:九州大学大学院 臨床・腫瘍外科学

【背景と目的】クローン病患者は若年発症で再燃による再手術率が高いため,整容性に優れ癒着等の手術関連合併症が少ない鏡視下手術は良い適応であると考えられる.しかしながら,その病態や疾患部位は様々で術式の定型化や標準化が難しく,特に腹腔内膿瘍や瘻孔を有する瘻孔型に対する鏡視下手術の有用性は検証が必要と考えられる.当科における瘻孔型クローン病患者に対する鏡視下手術手技をビデオで供覧し,短期手術成績の検討から鏡視下手術の有用性と適応について検証を行った.【方法】1996~2016年までに当科で腹腔内病変に対して外科的治療を施行された瘻孔型クローン病患者146症例について解析を行った.【結果】開腹手術(OS)105例と腹腔鏡手術(LS)41例の比較では,手術既往はOS群に多く,OS群は2回以上の既往を持つ症例が多かった(68.6% vs. 12.2%, P<0.01).手術時間は2群間に差はなく,LS例ではOS例と比較して出血量は少なかった(中央値; 383ml vs. 182ml, P=0.006).開腹移行は2例(4.9%)に認めた.合併症率は全体では2群間に差はないものの,創部感染はLS群で有意に少なく,術後在院日数も有意に短かった(10.5% vs. 0.0%, P=0.006, 19days vs. 14days, P=0.04).【まとめ】瘻孔や膿瘍を有する瘻孔型クローン病に対する鏡視下手術は安全かつ施行可能であるが,病態の複雑さや様々な炎症性病変に対応できる高度な手術手技が必要であり,施設ごとに適応を十分に考慮した上で行うべきであると考えられた.
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