演題

PP12-6

腹腔鏡下腸間膜生検術で診断した腸間膜悪性リンパ腫5例の検討

[演者] 山崎 悠太:1
[著者] 大野 伯和:1, 中島 高広:1, 藤田 恒憲:1, 楠 信也:2
1:兵庫県立柏原病院 外科, 2:神戸大学附属病院 肝胆膵外科

【緒言】悪性リンパ腫の診断・治療には充分量の組織採取が重要であり,頸部・腋窩・鼠径部等の表在リンパ節が腫脹していない腸間膜悪性リンパ腫では,腹腔鏡下生検術が有用である.今回,腹腔鏡下腸間膜生検で診断した腸間膜悪性リンパ腫5例を経験したため,臨床像・画像所見・術中所見について考察し報告する.
【症例】
<症例1>59歳男性.多血症の精査中に,骨髄検査で悪性リンパ腫の骨髄浸潤が疑われた.CTで腸間膜脂肪織濃度上昇と内部のリンパ節腫大を認めた.腹腔鏡下腸間膜生検術を施行し,濾胞性リンパ腫と診断された.その後経過中に再度生検術を施行したが,癒着を認めなかった.
<症例2>73歳男性.CTにて腸間膜脂肪織炎を疑われたが経過観察にて改善ないため腹腔鏡下腸間膜リンパ節生検を施行した.濾胞性リンパ腫と診断され,経過観察とした.半年後,右鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下手術を施行したが癒着を認めなかった.
<症例3>58歳男性.検診の超音波検査で腸間膜の肥厚とリンパ節腫大を指摘された.悪性疾患除外目的に,腹腔鏡下腸間膜生検術を施行した.濾胞性リンパ腫と診断された.
<症例4>63歳女性.開腹歴はなし.イレウスを加療中に急速に増大する腸間膜腫瘤を指摘された.腹腔鏡下腸間膜生検術を施行し,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された.
<症例5>71歳男性.腹部腫瘤を自覚し,CTにて腸間膜腫瘤を複数指摘され,悪性リンパ腫の疑いで腹腔鏡下腸間膜生検術を施行した.侵攻性B細胞性リンパ腫と診断された.
【考察】
腹腔鏡下腸間膜生検術は診断能が高く,再生検・手術の際も癒着が少なく,有用であった.
腸間膜悪性リンパ腫は,腸間膜脂肪織炎様の画像所見を呈するものと,腹腔内腫瘤を呈するものとに大別できた.前者はindolent lymphomaで術中所見では腸間膜腫脹を呈し,後者はaggressive lymphomaで術中所見では腸間膜腫瘤を呈した.腸間膜腫脹型では腫脹した間膜中のリンパ節を外表から同定することは難しいため,部分切除した間膜からリンパ節を同定して検査に提出するが,充分量の検体採取のため術中に複数回の切除を行うこともあった.腸間膜腫瘤型では,腫瘤近傍に孤在する腫大リンパ節を認める場合があった.腸間膜腫脹型や孤在リンパ節を認めない腸間膜腫瘤型では間膜自体に切り込む必要があり,出血を抑制のためenergy deviceの使用やエコープローブでの脈管確認も考慮される.
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