演題

PP12-5

当科における後腹膜腫瘍の手術症例

[演者] 出村 しおり:1
[著者] 渡辺 徹:1, 関根 慎一:1, 渋谷 和人:1, 橋本 伊佐也:1, 北條 荘三:1, 吉岡 伊作:1, 澤田 成朗:1, 奥村 知之:1, 長田 拓哉:1
1:富山大学大学院 消化器・腫瘍・総合外科学

【はじめに】「後腹膜腫瘍」という名称は,後腹膜に発生した腫瘍の総称であり,腫瘍の発生母地ではなく,発生部位を表したものである.治療の第一選択は手術であるが,術前に腫瘍の発生母地が不明であることが多く,臓器ごとといった通常の診療科の区分けが難しくなることがしばしばみられる.今回我々は,2008年1月から2016年11月の間に,当科で切除に携わった後腹膜腫瘍の症例を検討したので報告する.【結果】該当症例は,9症例であった.平滑筋肉腫が4例,他,孤立性線維性腫瘍,平滑筋腫,神経節細胞腫,脂肪肉腫,神経鞘腫が各々1例ずつであった.術前に後腹膜腫瘍とまでしか言及できなかったものが5例あり,術前に組織診断が確定していたものは1例のみであった.摘出した腫瘍の平均径は13.2㎝であった.腫瘍切除に加えて,他臓器の合併切除も行った症例は4例であった.術後に再発や転移を認めた症例は3例であり,7例が現在も生存中である.治療経過において,9症例すべてで術前に他の診療科が携わっていた.(当科から他の診療科へのコンサルト,または,他の診療科から当科へのコンサルトを含む).内訳は,泌尿器科が携わっていた症例が7例,整形外科が携わっていた症例が5例,腫瘍内科が携わっていた症例が5例,産婦人科が携わっていた症例が5例であった.後腹膜腫瘍は,術前の詳細な診断が困難であるために,治療に携わる診療科が限定されにくくなる.そのため,診療に携わる各々の診療科が後腹膜腫瘍に対する専門性の認識が決して高くはないと思われ,担当となった主たる診療科が治療のイニシアティブを発揮しにくい可能性が考えられる.【まとめ】後腹膜腫瘍の診療においては,治療に携わるすべての診療科が積極的に治療に参加する必要がある.院内でキャンサー・ボードを開催するなどして,連携のとれた治療を行いやすい環境を作り,複数の診療科が協力・連携してチーム医療で治療を進めていくことが大切である.また,消化器外科の立場からは,腫瘍が大きい場合には,経腹的に腫瘍を摘出することとなり,腹部手術に慣れている消化器外科がイニシアティブをとって手術を行うのがよいと思われる.
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