演題

PP12-4

本邦における後腹膜類表皮嚢胞19例についての検討

[演者] 岩崎 駿:1
[著者] 中塚 梨絵:1, 宮崎 進:1, 團野 克樹:1, 小森 孝通:1, 本告 正明:1, 柏崎 正樹:1, 岩瀬 和裕:1, 伏見 博彰:2, 藤谷 和正:1
1:大阪府立急性期・総合医療センター 消化器一般外科, 2:大阪府立急性期・総合医療センター 病理科

症例は60歳女性.既往歴や家族歴に特記事項はない.胃部不快感を主訴に近医を受診した際,腹部エコーで腎上極に嚢胞性腫瘤を指摘された.血液検査や身体所見での異常は指摘されず,CT検査を施行したところ95mm大の多房性嚢胞性腫瘤を腎上極に認めたことから,精査加療目的に当科紹介受診となった.CTおよびMRI検査にて,脂肪成分に富む類円状の結節を多量に含んだ複数の嚢胞を腎上極に認めた.また,被膜の一部は石灰化しており,高分化型脂肪肉腫や奇形腫が鑑別に挙げられた.後腹膜腫瘍の70~80%以上は悪性であると報告されており,自験例では腫瘍径も大きかったこ,さらには副腎以外への浸潤は明らかではなく完全切除できると判断されたことから,紹介受診後約1週間で手術を行った.上腹部正中切開で開腹し,大網を中央から左外側へ切離していくと,指摘されていた腫瘤を認めた.腫瘍塊は左副腎を巻き込んではいたが境界明瞭であり,他臓器への転移や浸潤などは認めなかった.被膜を破ることなく,左副腎とともに腫瘍を完全摘出することが出来た.病理結果は,嚢胞壁が皮膚構造に類似した重層扁平上皮で裏打ちされ,毛嚢や脂腺といった皮膚付属器を欠くことから,類表皮嚢胞の診断であった.術後6日目に退院し,再発なく経過している.
類表皮嚢胞は,全身のどの部位にも発症し得る疾患だが,一般的には口腔内や頭蓋内などに発生する良性腫瘍として知られている.その中でも,前仙骨部を除く後腹膜類表皮嚢胞は,1965年から2016年の52年間で医学中央雑誌で検索し得た限りでは,自験例が本邦19例目であった.極めて稀な部位に出現した類表皮嚢胞であり,自験例を含めた19例を,文献的考察を加えて報告する.
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