演題

PP12-3

当科における腹部脂肪肉腫に対する治療成績

[演者] 石川 博補:1
[著者] 坂田 純:1, 安藤 拓也:1, 相馬 大輝:1, 油座 築:1, 三浦 宏平:1, 大橋 拓:1, 滝沢 一泰:1, 小林 隆:2, 若井 俊文:1
1:新潟大学医歯学総合病院 第一外科, 2:新潟大学医歯学総合病院 小児外科

【背景】腹部脂肪肉腫は診断時には巨大化し,周辺臓器を巻き込んでいることも多い.当科では,可能な限り腫瘍をen blocに切除することを目指し,必要に応じて臓器合併切除を施行してきた.【目的】腹部脂肪肉腫に対する当科における手術症例の短期および長期成績を明らかにする.【対象と方法】1999年から2016年までに当科にて手術を施行し,脂肪肉腫と診断された22例を対象とした.男性12例(54.5%),女性10例(45.5%),年齢の中央値は60歳(範囲,37-87歳)であった.原発巣切除20例(90.9%),再発巣切除2例(9.1%)であった.【結果】en blocに腫瘍を切除可能であったのは20例(90.1%)で,2例(9.1%)で分割切除となった.全例で肉眼的に腫瘍遺残を認めなかったが,顕微鏡的断端陽性を3例(13.6%)で認めた.臓器合併切除は16例(72.7%)で施行された.切除臓器数は,1個が7例(31.8%),2個が6例(27.3%),3-5個が3例(13.6%)であった.切除臓器は,腎臓が12例(54.5%),副腎が6例(27.3%),結腸が5例(22.7%),小腸が2例(9.1%),脾臓が2例(9.1%),その他臓器が3例(13.6%)であった.摘出した腫瘍の最大径は253.5(90-390)cm,組織学的には,Enzinger and Weissの分類で,分化型脂肪肉腫が8例(36.4%),粘液-円形細胞型脂肪肉腫が4例(18.1%),脱分化型脂肪肉腫が2例(9.1%),混合型が8例(36.4%)であった.術後合併症を10例(45.5%)で認めた.内訳は,麻痺性イレウスが3例,創感染が2例,腹腔内膿瘍が2例,創し開が1例,術後出血が1例,胸水が1例,腹水が1例であった.再手術を必要としたのは創し開の1例のみであった.在院死および術後30日以内の死亡を認めなかった.脂肪肉腫再発を9例(40.9%)で認めた.全生存期間の中央値は103か月,無再発生存期間の中央値は45か月であった.年齢,性別,切除形式(en bloc切除か分割切除か),腫瘍遺残の有無,腫瘍最大径,組織型,合併切除臓器数で単変量解析を行ったが,有意差のある項目を認めなかった.切除形式に関して,無再発生存期間の中央値はen bloc切除群で45か月,分割切除群で9か月であり,en bloc切除群で長い傾向がみられた.【結論】腹部脂肪肉腫に対して,原則,臓器合併切除を含む腫瘍のen bloc切除を実施することで,約4割の症例で術後合併症を認めたものの,良好な長期成績を得ることができた.
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