演題

PP12-1

Nuck管水腫との鑑別が困難だった鼠径部脂肪肉腫の1例

[演者] 野渡 剛之:1
[著者] 古田 智章:1, 池田 治:1, 小林 昭彦:1
1:龍ケ崎済生会病院 外科

【はじめに】脂肪肉腫は軟部組織悪性腫瘍の中では比較的頻度の高い疾患であるが,好発年齢は中高年であり,好発部位は四肢や体幹,後腹膜で鼠径部は稀である.今回,Nuck管水腫との鑑別が困難だった若年発症の鼠径部脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.
【症例】症例は24歳の女性で,右鼠径部膨隆を主訴に受診した.既往として16歳時にWunderlich症候群(重複子宮+右膣閉鎖)に対し手術歴がある.身体所見では右鼠径部から外陰部にかけての膨隆と軽度圧痛を認めた.MRI検査所見では右恥丘皮下脂肪織から鼠径内側に広がる均一な多房性嚢胞性病変を認め,Nuck管水腫と診断され手術の方針となった.術中所見では明らかなsacを認めず,外鼠径輪から外陰部皮下にかけて粘液状の多房性嚢胞を認め,可及的に100g程度摘除した.術後経過は良好であり,第1病日に退院した.病理組織学的検査で,粘液型脂肪肉腫と診断された.
【考察】この症例は婦人科疾患の手術歴があり術前にMRI検査が施行されたが,鼠径部脂肪肉腫は臨床所見,画像所見を合わせても鑑別が困難と報告されている.鼠径部膨隆を主訴とする疾患は鼠径ヘルニアや精索水腫,Nuck管水腫などの良性疾患の頻度が圧倒的に多く,鼠径部に発症する脂肪肉腫は稀であることも,診断・治療の遅れの一因と考えられる.
詳細検索