演題

PP11-6

腹腔鏡下に切除した成人S状結腸間膜lymphangiolipomaの1例

[演者] 窪田 晃治:1
[著者] 中山 中:1, 高須 香吏:1, 杉山 聡:1, 寺田 立人:1
1:伊那中央病院 外科

腸間膜原発のlymphangiolipomaは非常にまれな疾患で,今までに4例の報告を認めるのみで,本邦での報告例はない.今回我々は,腹腔鏡下に切除したS状結腸間膜原発lymphangiolipomaの1例を経験したので報告する.症例は,37歳,男性.主訴は,下腹部痛および発熱.既往歴に特記する事なし.現病歴は,以前より時々腹痛を認めていた.下腹部痛および発熱を認め,なかなか改善しないため前医受診.虫垂炎の穿孔による膿瘍と診断され,保存的に加療を受けた.症状改善せず,再度精査施行された.虫垂炎からの膿瘍は否定的で,骨盤内に嚢胞性病変を認めたため,精査加療目的に当科紹介となる.初診時現症;身長173.4㎝,体重86.6㎏,BMI28.8,腹部は平坦,軟.下腹部に圧痛を認めた.反跳痛なし.血液検査では炎症反応の上昇および腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.腹部超音波検査にて骨盤内に嚢胞性病変を認め,虫垂粘液腫からの腹膜偽粘液腫を疑った.下部消化管内視鏡検査では,虫垂開口部を含めて異常所見を認めなかった.腹部CT検査では,S状結腸間膜内に約10㎝の範囲で多房性嚢胞性腫瘍を認めた.壁は一様に薄く,各嚢胞間を下腸間膜動静脈の枝が分け入るように走行していた.充実性成分も認めず悪性を示唆する所見は認めなかった.虫垂との連続性はなく,虫垂の腫大も認めなかった.腹部MRI検査では,CT同様に約10㎝の多房性嚢胞性腫瘍を認め,嚢胞内部はT1強調像,T2強調像ともに低信号から高信号の多彩な信号を示し,一部液面形成を認めた.多くはT1強調像で高信号,T2強調像でshadingによる低信号も認められ血性の液体貯留が疑われた.3ヶ月後の腹部CT検査では,嚢胞は縮小していた.以上からS状結腸間膜リンパ管腫と診断し,嚢胞内出血により疼痛が引き起こされたと考え,腹腔鏡下S状結腸切除術施行した.摘出標本肉眼所見は,S状結腸間膜内の脂肪に富んだ腫瘍で,割面で中小の管腔が散見された.病理組織学的検査では,成熟脂肪組織内に薄い壁で囲まれた管腔が散見され,特殊染色の結果は,リンパ管由来であり,S状結腸間膜lymphangiolipomaと診断した.術後経過は順調で,術後半年で再発等認めていない.S状結腸間膜原発のlymphangiolipomaは非常に稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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