演題

PP11-4

帝王切開術瘢痕部に発生した腹壁子宮内膜症の1切除例

[演者] 真弓 勝志:1
[著者] 寺倉 政伸:1, 伊藤 得路:2, 青田 哲尚:2, 竹村 雅至:3
1:合志病院 外科, 2:大阪市立大学附属病院 肝胆膵外科, 3:兵庫医科大学病院 上部消化管外科

子宮内膜症は子宮内膜と同じあるいは類似の組織が異所性に発育することで生じる疾患であるが,外科医が遭遇することは稀である.今回我々は,帝王切開術後の瘢痕部に生じた腹壁腫瘤を切除し,術後病理にて子宮内膜症と診断された症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.[症例]32歳,女性.[主訴]月経時に増悪する有痛性の下腹部腫瘤.[既往歴]15年前と12年前に帝王切開術の既往があり,2度目は死産であった.[現病歴]平成27年9月頃より下腹部のしこりに気づき,次第に増大して疼痛も強くなり鎮痛剤を常用するようになったため近医を受診した.[現症]下腹部に横切開による帝王切開術の創痕を認め,左創縁皮下に圧痛を伴う鶏卵大の腫瘤を触知し,可動性に乏しかった.[血液生化学所見]白血球増多,CRP上昇を認めず,腫瘍マーカーはCA125が159U/mlと上昇していた.[画像所見]腹部CT検査で左下腹部筋層に多結節性,嚢胞状の腫瘤性病変を認め,皮膚瘻孔や腹腔内と交通するような索状物も描出された.以上の所見から異所性子宮内膜症の他,腹壁膿瘍,肉芽腫等の可能性もあり,診断的治療のため手術切除を行った.[手術所見]皮膚瘻孔を通る横切開を加えて瘻孔及び腫瘤を摘出した.腫瘤は筋膜上に存在し剥離可能であったが,腫瘤底部から腹腔内と交通する索状物があり,筋膜レベルで切離して腫瘤を切除した.[切除標本]割断面では多胞性の嚢胞状組織で暗茶色の血性内容液を認めた.[病理組織検査]嚢胞壁より子宮内膜成分を認めたため,帝王切開術瘢痕部に生じた腹壁子宮内膜症と診断した.[術後経過]術後合併症も無く順調に経過し,外来経過観察時において月経随伴痛は認めなかった.[考察]腹壁子宮内膜症は内膜症全体の0.03~3.5%を占め,その79%は帝王切開術後の瘢痕部に生じると報告されているが,帝王切開術症例における腹壁子宮内膜症の発生率は0.03~1%と言われている.既往手術から4年以上経過例が56%,月経随伴痛を57%に認めると報告されている.本症は稀な疾患であるが,詳細な問診により本症を念頭におけば診断は比較的容易である.ホルモン療法も行われるが,鎮痛効果,腫瘍縮小効果に乏しい場合もあり,外科的切除が考慮される.基本的に良性疾患であるが切除不十分の場合,再発する可能性もあるため,術前画像検査で切除範囲を十分に検討しておく事が重要である.
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