演題

PP11-3

V-Pシャント造設20年後に婦人科手術をきっかけに腹腔内髄液仮性嚢胞を発症し,嚢胞開窓術を要した1例

[演者] 松野 邦彦:1
[著者] 高 和英:1, 下田 朋弘:1, 新井 洋樹:1, 柿沼 大輔:1, 松谷 毅:1, 野村 務:1, 金沢 義一:1, 藤田 逸郎:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学医学部 消化器外科・乳腺外科

症例は68歳女性,1987年にくも膜下出血後水頭症に対してV-P(ventriculo-peritoneal)
シャントチューブを留置された.2007年子宮筋腫に対して子宮全摘術施行後より腹腔内シャントチューブ先端に嚢胞形成を認め,必要に応じて穿刺排液を施行されていた.2016年になって穿刺を要する頻度が増加してきたため当科を紹介となった.腹部CTにて下腹部から右上腹部にかけての嚢胞形成を認め,嚢胞内にシャントチューブを認めた.また腹腔内臓器は左方に圧排されていた.髄液仮性嚢胞の診断にて腹腔鏡下に腹腔内を精査したところ腸管や腸間膜,腹壁などを壁とする巨大嚢胞を認め内部は透見できなかった.嚢胞壁の一部を開窓し,内部にシャントチューブを確認,内容液は無色透明の漿液性の液体で2000ml程度を吸引した.可及的に嚢胞壁を切除しシャントチューブを嚢胞内からダグラス窩へ誘導,再留置した.術後8か月を経過したが再発は認めていない.
V-Pシャント留置後の合併症は腹腔内合併症としては,腹壁穿孔,腸壁穿孔,腹水,ヘルニア,陰嚢水腫等があるがそのなかでも腹腔内髄液仮性嚢胞は比較的まれなものとされており,成人に限定するとさらに頻度は下がる.また発症までの期間も大部分の症例が6か月以内と比較的早期に発症するとされており,発症機序は炎症や感染などがあげられている.治療法としては穿刺排液のみで軽快するものもあれば手術による嚢胞開窓術,チューブの位置の変更,再発を繰り返すものに対してはV-Aシャントの造設などが挙げられる.
今回我々はV-Pシャント後20年を経過し,婦人科手術を契機に成人発症した腹腔内髄液仮性嚢胞に対して嚢胞開窓術を施行した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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