演題

PP11-1

術前診断が困難であった腹部神経鞘腫の4切除例

[演者] 松尾 めぐみ:1
[著者] 鈴木 大亮:1, 清水 宏明:1, 吉富 秀幸:1, 古川 勝規:1, 高屋敷 吏:1, 久保木 知:1, 高野 重紹:1, 酒井 望:1, 大塚 将之:1
1:千葉大学大学院 臓器制御外科学

【はじめに】
神経鞘腫は主に頭頚部,四肢,体幹などに生じるschwann鞘由来の腫瘍であり,腹部神経鞘腫では後腹膜原発は0.9%と非常に稀で,膵原発はさらに頻度が少ない.今回術前診断が困難であった腹部神経鞘腫の4例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
【症例1】32歳女性.腹痛を契機に受診.CTでは膵体部背側に皮膜を有する60×30mmの内部に嚢胞成分と充実成分をもち漸増性に造影される腫瘤を認めた.画像検査よりSCTの診断となり腫瘍核出術を施行した.【症例2】68歳女性.右腰部痛を契機に受診.CTでは腹側腹膜に27×20mm大の漸増性に造影される内部均一な腫瘍を認めた.画像所見より神経原性腫瘍を疑い腫瘍摘出術を施行した.【症例3】40歳女性.人間ドックにて腫瘤指摘され受診.CTではIVC背側に26×14mm大の辺縁が漸増性に造影され,内部に造影不良域をもつ腫瘤を認めた.画像所見より神経原性腫瘍の疑いとなり腫瘍摘出術を施行した.【症例4】68歳男性.人間ドックにて腫瘤を指摘され受診.CTでは膵体部に20×15mm大の漸増性に均一に造影される境界明瞭な腫瘤を認めた.EUS-FNAではFibrous stromaの診断であった.SPNの診断で膵中央切除術を施行した.以上4例,いずれも切除標本の病理学的診断は神経鞘腫であった.再発兆候はいずれの症例でも認めていない.
【考察】
腹腔,後腹膜腔など,いわゆる「腹部」領域での神経鞘腫発症は非常に稀である.神経鞘腫は,一般的にCTで腫瘍内部が変性壊死・嚢胞空洞形成しlow densityを呈することが多く,ときに出血・石灰化を伴うと報告されているが,所見は多彩かつ非典型的で診断に苦慮することが多い.当院で経験した4例も画像所見は多彩であり,やはり術前診断は困難であった.このように,多彩な画像所見を呈する理由としては,組織病理学的性質の異なるAntoni A, Antoni Bが混在するためと報告されている.近年ではEUS-FNAで確定診断に至った症例も報告されているが,当院で施行した1例では,確定診断に至らなかった.FNAでは検体量が少なく病理学的評価が困難であることも多く,現状では画像所見を含め総合的に診断せざるを得ないと思われる.予後は基本的には良好であるが,再発例や,悪性化例も少数ながら報告されており,慎重な経過観察が必要である.
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