演題

PP10-4

当院における閉鎖孔ヘルニア手術18例の検討

[演者] 井上 裕章:1
[著者] 三原 史規:1, 黒川 敏昭:1, 枝元 良広:1, 矢野 秀朗:1, 橋本 政典:1
1:国立国際医療研究センター病院 外科

【背景】閉鎖孔ヘルニアは消化器領域の全ヘルニア症例の0.073%を占める比較的稀な症例であり,手術療法が唯一の根治的治療とされる.【目的】当院で経験した閉鎖孔ヘルニア手術について検討する.【対象および方法】当院で2001年から2016年までに閉鎖孔ヘルニア手術を施行した18例に対して背景因子,発症時の主訴,術前診断,手術方法,転帰などを検討した.【結果】女性17例,男性1例,平均年齢は86.7歳.主訴は嘔気・嘔吐が10例,腹痛が8例,下肢痛・股関節痛が4例であった(重複あり).術前診断は全例閉鎖孔ヘルニアの診断がついていた.右側10例,左側4例,両側4例.手術方法として,開腹でのアプローチが12例,腹膜前腔からのアプローチが6例であった.メッシュなどの人工膜材による閉鎖孔の被覆をした例は8例であった.イレウスを併発していたものが14例で腸管切除を施行したのは5例であった.手術時間の平均値は86分,中央値91分.術後合併症は1例に生じ,Clavien-Dindo分類ではGradeIIの上室性不整脈であった.術後在院日数は平均値12.8日,中央値9.5日であった.再発は1例であり,術後3年目の再発であった.【考察】本邦での閉鎖孔ヘルニアを報告する文献のすべてで,高齢女性患者がほとんどとされている.また,開腹によるアプローチが9割以上を占めているという報告がほとんどであり,当院では比較的積極的に非開腹のアプローチを選択していると言える.術後合併症については,ほぼ全例高齢者かつ緊急手術ということもあり,14%-38%と高率に起こると報告されている.また,在院死亡率も9.8%と高率であったという報告もあるが,今回の検討では術後合併症発症率は5.5%で,在院死亡も0と良好な短期成績を収めることができた.これは,低侵襲な非開腹手術が多く選択されていることや,正確な術前診断により,早期の手術治療が可能であったことが関与している可能性がある.再発率については5-10%と報告されており,我々も同程度の再発を経験した(18例中1例).【結論】閉鎖孔ヘルニアは高齢者の緊急手術症例となることが多く,術後合併症の発症率は低くないが,迅速かつ正確な診断から早期治療を行うことや,低侵襲な手術法を選択することで,より良好な手術成績を得られる可能性がある.
詳細検索