演題

PP10-3

当院における閉鎖孔ヘルニアの治療戦略

[演者] 坂田 和也:1
[著者] 外山 栄一郎:1, 坂本 悠樹:1, 髙田 登:1, 吉仲 一郎:1, 原田 和則:1
1:天草地域医療センター 外科

【はじめに】当院では腹腔鏡手術の導入に伴い,閉鎖孔ヘルニアに対しても積極的に腹腔鏡手術を施行している.閉鎖孔ヘルニアは高齢化に伴い増加傾向にあるが未だ確立された標準術式は無い.当院における閉鎖孔ヘルニアに対する現在の治療戦略について報告する.【対象と方法】2014年4月から2016年12月までの期間で 閉鎖孔ヘルニア根治術を行った9例 について検討した.術前に閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断された症例はエコーガイド下で用手整復を試みて,出来なければメッシュ修復あるいはヘルニア嚢を反転しエンドループにて結紮した.術中に必ず対側も確認し不顕性ヘルニアと診断した症例に対しても予防的にエンドループにて結紮した.9例中8例はヘルニア嵌頓によるイレウス状態であり,オプティカル法にて慎重に臍部に5mm,左右側腹部に5(3)mmの5mm以下のトロッカーを挿入し,イレウス解除の際は,拡張ない肛門側腸管および腸間膜を愛護的に把持し牽引した.【結果】平均年齢は79.9 ±9.8歳.男女比1:8.9例中1例は腸管拡張が顕著であり,腹腔鏡手術では視野確保困難と判断し開腹手術としたが,8例に対して腹腔鏡手術を施行した.在院日数8.3 ±2.7日.腸壊死は認めなかった.4例でメッシュ修復を行い,5例はエンドループにて結紮した.9例中5例に対側の不顕性ヘルニアを認め,エンドループにて結紮した.手術時間は 77.2 ± 29.5分で,出血量はいずれも少量であった.1例は以前に開腹手術にて閉鎖孔ヘルニアを修復した症例であり,癒着性イレウスにて再手術した際に対側に閉鎖孔ヘルニアを認めた.合併症はヘルニア嚢内の血種形成による癒着性イレウスを 1 例認め,それ以外の合併症はなかった.術後フォロー期間は短いが,現在のところ再発および不顕性ヘルニアの顕性化は認めていない.【まとめ】閉鎖孔ヘルニアに対して,最初のアプローチとして腹腔鏡手術を行うことは,他の鼠径部ヘルニアの合併・両側発生の有無の診断が確実に行え,確実なヘルニア修復を行えることが出来る.対側の不顕性ヘルニアに対する単純縫縮術での手術時間の延長は10分程度であり,不顕性ヘルニアの顕性化およびコストの観点からも容認できる術式と考えられるが,今後さらに術式を検討する必要があると思われる.
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