演題

PP10-2

閉鎖孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術の有用性

[演者] 中山 啓:1
[著者] 佐藤 就厚:1, 高井 優輝:1, 鎌田 徹:1, 神野 正博:1
1:恵寿総合病院 消化器外科

閉鎖孔ヘルニアは高齢の痩せた女性に多い比較的稀な疾患であり,緊急手術となることが多く,そのアプローチ法やヘルニア修復法は定型化されていない.当院で腹腔鏡手術によって修復した閉鎖孔ヘルニアを経験したので,開腹手術との比較・検討を行い,文献的考察を加えて報告する.【症例】80歳女性,1年前に左鼠径ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニアに対して腹腔鏡下修復術を受けた.その後左鼠径部の痛みをときどき自覚していたが放置していた.自宅で転倒し,当院救命センターを受診した際に,CTで左閉鎖孔ヘルニアを認めた.超音波ガイド下に整復を行い,発症2週間後に待機的に腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.腹腔内を観察すると左閉鎖孔ヘルニアに加え,右閉鎖孔ヘルニアと右大腿ヘルニアの合併を認めた.2枚のメッシュを用いて同時に修復術を行い,術後経過は良好で再発は認めない.
当院で2000年5月から2016年8月までに手術を行った閉鎖孔ヘルニア36例の検討を行った.平均87.1歳で平均BMIは17.3kg/m2,全例女性であった.33例(91.6%)に緊急手術が行われており,腹腔鏡手術は5例(13.9%)に施行されていた.閉鎖孔の処理は腹膜縫縮:9例,プラグ挿入:3例,メッシュ:8例,未処置:16例であった.腹膜縫縮症例で1例,閉鎖孔未処置の症例で2例に再発を認めた.開腹手術症例で1例に対側のヘルニア再発を認めた.開腹手術と腹腔鏡手術を比較すると平均手術時間は開腹群:62分,腹腔鏡群:82分と腹腔鏡手術群が長かったが,術後経口摂取再開は開腹群:4.8日,腹腔鏡群:3日,術後在院日数は開腹群:25.6日,腹腔鏡群:17.6日であった.閉鎖孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術は確定診断から治療までを一貫して行うことができ,手術侵襲が少ないため高齢者の早期社会復帰に有用な方法であると考えられた.
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