演題

食道胃接合部癌125例から導かれる最適な術式 根治性と術後QOLの併存を求めて

[演者] 野間 和広:1
[著者] 白川 靖博:1, 河本 慧:1, 松三 雄騎:1, 前田 直見:1, 二宮 卓之:1, 田辺 俊介:1, 西崎 正彦:1, 香川 俊輔:1, 藤原 俊義:1
1:岡山大学大学院 消化器外科学

【緒言】食道胃接合部癌に対する術式においては,郭清範囲や再建法についてコンセンサスが得られていないのが現状である.今回は当科にて経験した接合部癌125例の臨床病理学的検討を行い治療戦略について考察した.また当科で新たに取り組んでいる機能的再建「胸腔内観音開き法」14例のpHモニタを用いた機能評価,さらに最近導入した腹臥位下縦隔郭清併用の腹腔鏡下切除再建4例について解析し手術手技をビデオにて供覧する.【対象】2000年以降に根治的手術を行われた食道胃接合部癌125例中,術前化学療法症例を除く109例を対象とした.【結果】平均年齢67.7歳.組織型は腺癌76例,扁平上皮癌28例,その他が5例であった.占拠部位はE/EG/E=G/GE/G:17/33/17/31/11例で,リンパ節転移は表在癌ではsm 29例中5例(17.2%)に転移を認め, EI(食道浸潤長): 3cmのsm3症例で#110転移を認め他4例は#1,#3領域の転移であった.進行例ではT2/3/4:55.6/83.3/85.6%と高率にリンパ節転移を認めた.転移部位は腹腔動脈周囲および下縦隔リンパ節転移が最も多く,縦隔転移は13例に認めた.上中縦隔転移症例は,腹部リンパ節の多発症例に認める傾向にあった.再建については,表在癌に対する「胸腔内観音開き法」14例では1例のPPI内服症例以外は逆流症状なく制酸剤の使用は認めず,内視鏡ではGradeN/A/B=4/0/2(LA)であり狭窄例は認めなかった.pHモニタでの機能評価は術前後測定症例においては全例改善もしくは正常範囲内を示し,術後測定のみ症例においても同様に良好な結果を示した.また完全鏡視下切除再建の4例においても同等の術後機能評価を示した. 【考察】表在癌においては,リンパ節郭清は噴切に準じた郭清範囲で許容され得るが,EI: 2cm以上のsm以深においてはさらに確実な下縦隔郭清が必要と思われた.進行例においては,リンパ節多発症例や上縦隔転移症例は予後不良であったが,中縦隔転移症例で3領域郭清を施行した症例3例に長期生存も認め,縦隔全域を含めた郭清意義については可能性が示唆された.再建は吻合が縦隔内の高位になる場合にも「観音開き法」は有用であることからも接合部表在癌に対する最適な再建法と思われた.また腹臥位下縦隔郭清を併用した完全鏡視下切除再建法は,以前の左開胸開腹連続切開の問題を解決した上に確実な郭清を可能とし,さらに術後機能にも優れていることから,根治性と術後QOLを兼ね備えた有用な術式と思われた.
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