演題

PO11-6

Mesh Plug修復術後5年目にメッシュ感染し虫垂皮膚瘻を形成した一例

[演者] 辛島 龍一:1
[著者] 内原 智幸:1, 大内 繭子:1, 澤山 浩:1, 木下 浩一:1, 岩槻 政晃:1, 馬場 祥史:1, 坂本 快郎:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学附属病院 消化器外科

[症例]82歳,男性.6年前に当院で両側鼠径ヘルニア(両側とも日本ヘルニア学会分類Ⅰ-2型)についてmesh plug法により修復術を施行されている.1年前に右鼠径部の皮膚発赤を自覚し,皮膚が自壊して膿汁の流出を認めたため前医を受診した.当初は鼠径部皮下膿瘍の診断で外来通院しながら治療されていたが,難治性であった.前医で瘻孔造影検査を施行されたところ,造影剤が虫垂から盲腸内に流入する所見が確認されたため,虫垂皮膚瘻の診断で精査加療目的に当科外来を紹介受診した.経過から鼠径ヘルニア手術で留置したメッシュを介して虫垂と皮膚が通じている可能性が高いと判断し,虫垂切除とメッシュ除去を行う方針とした.まず腹腔鏡で腹腔内を観察したところ,虫垂先端部分が腹腔側に突出するmesh plugと癒着している所見を確認した.虫垂を根部で離断し,メッシュは腹腔内から可及的に切除して虫垂と一塊に摘出した.つぎに前方切開アプローチでonlay patchと残ったmesh plugの一部を瘻孔とともに完全切除し,組織縫合法で鼠径管後壁を修復した.術後に麻痺性イレウスを発症したため経口摂取開始が遅れたが,イレウス状態は保存的に改善し,術後16日目に自宅退院となった.[文献的考察]メッシュを用いた鼠径ヘルニア手術後に腸管皮膚瘻を発症した報告は,検索し得た限りでは自験例を除き英文で5件,邦文で12件であり,mesh plug法によるものが多かった.このうち,虫垂皮膚瘻は邦文の1例のみであり,本症例は非常に稀であると考えられた.[おわりに]今回のような鼠径ヘルニア術後のメッシュ関連トラブルは,鼠径管の腹側にのみメッシュを留置するLichtenstein法であれば起こり得ないものであった.現在我々は鼠径ヘルニア手術に際して,前方切開法によるメッシュ修復にはLichtenstein法を第一選択としている.
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