演題

Siewert type II 食道胃接合部腺癌に対する至適郭清範囲と術式の選択

[演者] 由良 昌大:1
[著者] 竹内 裕也:1, 中村 理恵子:1, 須田 康一:1, 和田 則仁:1, 川久保 博文:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

a【目的】Siewert type II領域の食道胃接合部腺癌は上中縦隔郭清の必要性や術式に関して未だに議論の余地がある. 本研究ではSiewert type I腺癌と同様に,上中縦隔転移のリスクが高いと考えられるSiewert typeII腺癌, 下縦隔郭清を要するSiewert typeII腺癌,縦隔郭清を要さないSiewert type II 腺癌を検討する.
【方法】2000年1月から2016年7月の間に当院でR0/1手術が施行されたSiewert分類に基づく食道胃接合部腺癌102例のうち Siewert type I腺癌 15例とSiewert type II腺癌 87例を対象とした.
【成績】術式は, Siewert typeI 腺癌14例(93.3%)とSiewert type II腺癌15例(17.2%)に経胸操作が選択され, Siewert typeII腺癌72例 (82.8%)に経裂孔操作が選択された. 全症例の中で食道浸潤長が3cmを超えると上縦隔転移・再発の割合が36.8%(7/19), 中縦隔転移・再発の割合が21.2%(4/19)と高く, 2cmを超えると下縦隔転移の割合が21.4%(3/14)と高値を示した.縦隔リンパ節転移・再発が陽性例は15例, 陰性例は87例存在し, 食道胃接合部から腫瘍中心の距離(陽性:食道側に8.0mm vs 陰性:胃側に4.6mm) , 食道浸潤長(陽性:30.3mm vs 陰性:10.3mm), 壁深達度にそれぞれ有意な差を認めた. これらの3つの要素を踏まえて作成したSiewert type II腺癌における術式のアルゴリズムに基づき, 腫瘍中心が食道側の進行症例あるいは腫瘍中心が胃側の進行症例でかつ食道浸潤長が3cmを超える症例をハイリスクSiewert type II腺癌の集団とすると, 上中縦隔のリンパ節転移・再発率は16.7%(3/18), 縦隔全体の転移・再発率は5/18(44.4%)と高値であった. 一方で, Selected Siewert type IIに含まれないSiewert type IIをNon-Selected Siewert type IIとすると,縦隔全体の転移・再発率は4/69 (5.8%)と低値であった.
【結論】Siewert type II腺癌の中でも上中縦隔転移・再発率の高い集団が存在し, これらの症例はハイリスクSiewert type II腺癌としてSiewert type I腺癌同様に経胸壁操作による上縦隔郭清が必要と考えられる. Non-selected Siewert type IIの中で, 腫瘍中心が食道側の症例, 腫瘍中心が胃側の進行症例は経裂孔的な下縦隔郭清の適応と考える.
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