演題

PO10-1

鼠径ヘルニア再発症例に対するTAPPの有用性

[演者] 渡辺 卓央:1
[著者] 蓮尾 公篤:1, 公盛 啓介:1, 嘉数 彩乃:1, 三箇山 洋:1, 神 康之:1, 益田 宗孝:2
1:秦野赤十字病院 外科, 2:横浜市立大学附属病院 一般外科

【背景】
当科では2011年4月から鼠径ヘルニア再発症例に対して積極的に腹腔鏡手術を行っている.腹腔鏡を使用し腹腔内から観察することにより再発部位,再発形式の診断が確実にできるというメリットがあるが,再発症例に対する術式に一定の見解はない.

【対象と方法】
2011年4月から2016年3月までの5年間,成人鼠径ヘルニア術後の再発症例に対して,当科にて腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP)を行った20例を対象とし,手術記録や手術動画を再確認し周術期成績および再発形式の検討を行った.

【結果】
再発症例は全て男性.再発時の平均年齢は71歳(40-93歳),初回術式の内訳は前方到達法15例,TAPP 3例,開腹2例であった.再発までの期間の中央値は1098日(3日-10年)であった.再発時の診断は日本ヘルニア学会分類で,recⅠ-2:5例,recⅡ-1:9例,recⅡ-2:6例であった.初回TAPPで行われた症例は初回,再発時ともⅡ-1型であった.メッシュの折れ返りや収縮,固定不十分などに起因するものと推測された.recⅠのうち5例中3例は初回前方到達法で行われたⅡ型ヘルニアであり,これは初回手術時に腹膜鞘状突起を処理すれば再発を防げた可能性があった.
一方,手術時間は平均117分(71-204分)で,ヘルニア嚢が大きく前方到達法に移行した症例が1例あった.術後在院日数は5日(2-11日), 術後合併症はseroma 5例,皮下血腫1例,排尿障害1例,小腸損傷による腸管瘻(Clavien-Dindo分類 Ⅲb)1例であった.再再発症例は認めていない.

【結論】
再発鼠径ヘルニアに対するTAPPは正確な診断に有用であるが,その手術には慎重な操作と合併症を減らすためのさらなる工夫が必要であると考えた.
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