演題

食道切除例からみた食道胃接合部腺癌縦隔リンパ節転移

[演者] 峯 真司:1
[著者] 渡邊 雅之:1, 熊谷 厚志:1, 布部 創也:1, 井田 智:1, 秋吉 高志:1, 高橋 祐:1, 齋浦 明夫:1, 比企 直樹:1, 佐野 武:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】近年では胃側よりも食道側に主座をもつ食道胃接合部腺癌が増加し,食道切除を施行する機会が増えてきた.当院で経験した食道胃接合部腺癌に対する食道切除例について縦隔リンパ節転移を中心にretrospectiveに臨床病理学的因子を検討した.
【対象】当院にて2006/1-2016/10に食道切除を受けた1064名のうち,組織型が腺癌であった患者は118名(11%).胃全摘,噴門側胃切除,または食道抜去術を受けた62名を除き,右開胸または胸腔鏡下に食道切除を受けた56名を対象とした.食道切除の適応としてはSiewert type Iまたは食道浸潤長3㎝以上のSiewert type IIとしている.
【結果】男性54名,女性2名.年齢は中央値56.5歳(34-85歳).Siewert type I/IIはそれぞれ41/15例.TNM7thによるStageではcStage I/II/III/IVで20/15/20/1.術前化学療法は19名(34%)に施行.右開胸が22例(39%),胸腔鏡が34例(61%)に行われた.両側106recを含む上縦隔までの完全郭清が40例(71%)に,不完全な郭清や中下縦隔のみの郭清は16例(29%)に行われた.
縦隔リンパ節転移は20例(35%)に認め,一方腹部リンパ節転移は35例(63%)に認めた.上(頸部も含む),中,下縦隔リンパ節転移はそれぞれ11例(20%),9例(16%),12例(21%)と明らかな差は認めなかった.上中縦隔リンパ節転移に関連する因子としてcStage,内視鏡上の腫瘍長径,CT上での腫瘍近位側の位置があり,一方で内視鏡上のBarrett食道の有無,内視鏡上の食道浸潤長,Siewert分類は関連を認めなかった.
再発は22例に認めた.腹部傍大動脈リンパ節転移を含む遠隔転移を17例,106単独再発を4例(3例は非郭清例),口側食道への壁内転移を1例に認めた.上中縦隔リンパ節転移陽性17例中で1年以上経過した14例中,無再発は3例のみであった.下縦隔リンパ節転移12例中,1年以上経過した11例中の無再発は5例であった.
【結語】食道切除の対象となるような食道胃接合部腺癌において縦隔リンパ節転移は35%に認め,cStage II以上に限定すれば18/36(50%)に達し,扁平上皮癌と同様に縦隔リンパ節は郭清対象と言える.上中下縦隔リンパ節転移頻度には大きな差はなく,106を含めた郭清が必要である一方で上中縦隔リンパ節転移例は再発が多く大部分は遠隔転移であることを考えると,術前化学療法をふくめた集学的治療が必要と考えられた.
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