演題

PN11-3

進行食道癌に対する緩和的食道ステント治療の検討

[演者] 浦田 正和:1
[著者] 佐々木 健:1, 内門 泰斗:1, 尾本 至:1, 有上 貴明:1, 上之園 芳一:1, 奥村 浩:2, 大脇 哲洋:3, 前村 公成:1, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学, 2:JA鹿児島厚生連病院 外科, 3:鹿児島大学大学院 離島へき地医療人育成センター

【背景・目的】近年,癌治療と並行して積極的な症状緩和が必要であり,緩和医療における消化器外科医が果たす役割が大きい.当科では,進行食道癌による狭窄や瘻孔形成が原因で経口摂取が困難な患者に対して,症状緩和目的に食道ステント留置を行ってきた.今回,それらの症例について臨床的検討を行った.
【対象】2011年8月から2016年10月までに当科で食道ステントを留置した55名のうち,進行食道癌が原因の狭窄・瘻孔に対して施行した45名を対象とした.
【結果】男性38名,女性7名で,食道ステント挿入時の平均年齢は69.2(51-89)歳であった.食道癌の占居部位はCe:1例,Ut:3例,Mt:22例,Lt:14例,Ae:4例(1例は術後胃管癌)であり,扁平上皮癌の42例のstageは,Ⅱ:1例,Ⅲ:15例,Ⅳa:20例,Ⅳb:6例,食道腺癌の2例はstageⅣ,胸部食道癌肉腫の1例はstageⅢであった.留置目的は狭窄解除が38例,瘻孔閉鎖が7例であった.食道ステントは,全例M.I.Tech社製のHANAROSTENTを用い,上部用が3例,逆流防止弁付きが24例,逆流防止弁なしが18例であった.89%(40/45例)の症例で経口摂取が可能となった.留置から経口摂取開始までの平均日数は3.6(1-9)日,留置から死亡までの平均日数は117.1(14-489)日(2名は生存中)であった.留置前に行った治療は,化学療法のみ(CT)が8例,放射線療法のみ(RT)が4例,化学放射線療法(CRT)が19例,手術が3例,前治療無しが11例であった.留置後に何らかの治療を行ったのは15例で,その内訳はCT:8例,RT:3例,CRT:4例であった.留置直後の症状は,痛みが23例,発熱が9例,嘔気が4例(重複あり)で, 16例は無症状であった.食道ステント留置後も経口摂取出来なかった症例が5例認められたが,その原因は,嚥下困難,全身状態の悪化,食べる意欲の減退であった.
【結語】食道ステントは留置部位をよく吟味し,適切なステントを選択することで安全に施行することが可能であり,狭窄解除や瘻孔閉鎖により症状緩和に繋がる.しかし,コントロール不良の発熱や疼痛のある患者や,全身状態が悪化傾向の患者に施行する場合は,症例選択や留置時期を十分に考慮して行う必要がある.
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