演題

PN11-1

高度急性期病院での緩和治療における消化器外科医の役割

[演者] 杉山 保幸:1
[著者] 山田 誠:1, 波頭 経明:1, 松井 康司:1, 奥村 直樹:1, 佐々木 義之:1, 多和田 翔:1, 後藤 亜也奈:1, 土屋 博:1, 横井 亮磨:1
1:岐阜市民病院 外科

【目的】高度急性期病院での緩和医療における消化器外科医の取組みを分析し,その意義
と課題を検討した.【方法と結果】1)過去3年間の消化管ストーマ造設件数は169件,同時期に緩和ケアチームが介入した緩和的ストーマ造設例は15例であった.このうち6例はストーマ造設後に化学療法を予定していたが,1例で粘膜皮膚接合部離開を合併し,未実施のまま原病死した.一方,化学療法が実施できた5例中4例では可能な限り在宅で過ごすことができ,QOLは良好であった.2) Best Supportive Care目的で造設した9例は,いずれも管理困難はなく,本人あるいは家族によるケアにも問題がなかった.また,3例で終末期にストーマが浮腫状になったが,皮膚・排泄ケア認定看護師と協同して装具の貼付方法を工夫したところ,日常生活に支障をきたすことはなかった.なお,2例で栄養状態が改善したため,短期間の化学療法を実施した.3)周術期からがん終末期まで多岐に及ぶ症例を担当する一般混合病棟に勤務する看護師22名に,看取りケアの質向上を目的とした緩和ケア教育を3か月間実施した.その結果,緩和ケアの知識は増加し,看取りのケアの実践および症状緩和の困難感に関する自己評価が有意に改善したものの,医療者間のコミュニケーションについては有意ではないものの悪化した.4) 進行・再発癌の診断で入院し,がん患者リハビリテーション(以下がんリハと略す)を受けた45例を対象として,機能的自立度や抑うつ・不安の状況,援助必要項目等を調査したところ,性別,抑うつ・不安,婚姻状態が援助必要項目の数と関連していた.そのため,リハビリスタッフに日常生活動作以外の項目にも着目するように指導したところ,がんリハ実施時の意欲が向上し,カルテの所見記載内容も充実した.5)オピオイドの内服が困難となり,注射液に変更した進行癌症例を,緩和ケアチーム介入群(n=27)と非介入群(n=24)で比較すると,両群間で疼痛スコア改善度に有意差はなかったものの,介入群では高用量を段階的に変更した症例が多く,病状に即したオピオイドローテーションが円滑に行われていた.【結語】患者や家族の希望する環境で最期を迎えるための支援は容易ではないが,消化器外科医が管理困難をきたさない緩和的ストーマを確実に造設し,緩和ケアに関わる多職種とともに研鑚・スキルアップすることで,高度急性期病院での緩和医療の質を向上できる可能性が示唆された.
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