演題
PN10-4
消化器外科病棟における血液培養検査での2セット検体採取の意義 |
【緒言】消化器外科領域では,中心静脈カテーテル留置,完全静脈栄養,悪性腫瘍,高齢,抗癌剤の使用などの菌血症のrisk factorを有する患者の頻度が高い.血液培養検査は菌血症の診断に有用で,その結果は標的抗菌薬の選択や抗菌薬治療期間の設定においても重要な所見であることより,敗血症診療ガイドラインにおいても血液培養検査が強く推奨されている.今回我々は,当院の消化器外科病棟において血液培養検査が施行された症例を検討し,その現状と問題点を検討した.
【対象と方法】2011年から2015年の間に,血液培養検査を実施した322症例,473検体を対象とした.このうち血液培養検査が陽性であったものは121例(25.6%)であった.検出菌ではStaphylococcus epidermidis,Klebsiella属が17検体と最も多く,次いでCandida属,Enterobacter属が11例,Enterococcus属が10検体,MRSA,E. coliが9検体であった.採取場所(集中治療室あるいは一般病棟),中心静脈カテーテルの有無,採取血管(動脈あるいは静脈) ,検体の採取数(1セットあるいは2セット)において培養陽性率には差を認めなかった.培養陽性検体のうち,2セットの検体採取が行われていた検体は57/121(47.1%)であった.2セットの検体採取が行われていた症例の21.1%において2株以上の菌が検出されていたが,1セットの検体採取ではその割合は12.5%と低率であった.2セットの検体採取が行われ,1セットのみ培養が陽性であったものは12.3%であった.2014年で年代を2分し,2セットの検体採取が行われた割合を検討すると,前期では40.0%であったのに対し,後期では79.8%と有意に高率であった.【結語】消化器外科病棟の血液培養検査において,細菌の検出率の向上のためには2セットの血液培養検体採取が必要であり,その必要性について,さらなる啓発が必要であると考えられた.
【対象と方法】2011年から2015年の間に,血液培養検査を実施した322症例,473検体を対象とした.このうち血液培養検査が陽性であったものは121例(25.6%)であった.検出菌ではStaphylococcus epidermidis,Klebsiella属が17検体と最も多く,次いでCandida属,Enterobacter属が11例,Enterococcus属が10検体,MRSA,E. coliが9検体であった.採取場所(集中治療室あるいは一般病棟),中心静脈カテーテルの有無,採取血管(動脈あるいは静脈) ,検体の採取数(1セットあるいは2セット)において培養陽性率には差を認めなかった.培養陽性検体のうち,2セットの検体採取が行われていた検体は57/121(47.1%)であった.2セットの検体採取が行われていた症例の21.1%において2株以上の菌が検出されていたが,1セットの検体採取ではその割合は12.5%と低率であった.2セットの検体採取が行われ,1セットのみ培養が陽性であったものは12.3%であった.2014年で年代を2分し,2セットの検体採取が行われた割合を検討すると,前期では40.0%であったのに対し,後期では79.8%と有意に高率であった.【結語】消化器外科病棟の血液培養検査において,細菌の検出率の向上のためには2セットの血液培養検体採取が必要であり,その必要性について,さらなる啓発が必要であると考えられた.