演題

食道胃接合部腺癌の臨床病理学的特徴と至適リンパ節郭清範囲

[演者] 齊藤 博昭:1
[著者] 河野 友輔:1, 村上 裕樹:1, 黒田 博彦:1, 松永 知之:1, 福本 陽二:1, 尾崎 知博:1, 前田 佳彦:1, 蘆田 啓吾:1, 藤原 義之:1
1:鳥取大学医学部 病態制御外科学

(はじめに)食道胃接合部腺癌は今後本邦でも増加が予想されている.従来は各施設の方針に従って食道癌あるいは胃癌として治療が行われてきたが,全国調査の結果から長径4cm以下の食道胃接合部癌に対するリンパ節郭清範囲が胃癌治療ガイドラインに掲載された.しかしその臨床病理学的特徴や予後,至適リンパ節郭清の範囲については不明な点が多い.
(対象)当科で経験した101例のSiewert type2の食道胃接合部癌を対象とし,同時期に胃癌にて胃切除を施行した1884例と臨床病理所見や予後,再発形式を比較検討した.さらに食道胃接合部癌のリンパ節転移頻度や郭清効果インデックスを検討した.
(結果)
1. 食道胃接合部癌は近年増加傾向であった.
2. 食道胃接合部癌は他部位の胃癌と比較して,漿膜浸潤,リンパ節転移,リンパ管新種および静脈侵襲の陽性頻度が有意に高率であった.
3. 根治手術を施行した食道胃接合部癌,上部胃癌,その他の部位の胃癌症例の5年生存率は61.6%,79.1%,82.6%で食道胃接合部癌が有意に予後不良であった.
4. 多変量解析では食道胃接合部癌であることが年齢,腫瘍径,深達度,リンパ節転移,リンパ管侵襲および静脈侵襲とともに独立した予後因子であった.
5. 再発形式では食道胃接合部癌に血行性再発およびリンパ節再発が有意に高率に認められた.
6. リンパ節転移頻度はNo1 46.4%,No2 35.4%,No3 41.1%,No4sa 12.5%,No4sb 6.5%,No4d 2.8%,No 5 3.6%,No 6 1.5%,No 7 19%,No 8a 4.9%,No 9 5.9%,No 10 7.8%,No 11 10.5%,No 12a 2.9%,No 16 18.8%,下縦隔リンパ節(110, 111, 112)23.8%であった.
7. 郭清効果indexはNo 1 12.2,No 2 8.7,No 3 14,No 4sa 1.25,No 7 4.8,No 11 2.63であった.
(結語)食道胃接合部癌は進行例が多く,予後不良で,他の部位の胃癌症例とは異なった臨床病理学的特徴を有していた.手術は噴門側胃切除+下部食道切除に下縦隔郭清を行うことが必要と考えられた.
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