演題

PM12-7

外科的緊急性のない腹腔内遊離ガス(nonsurgical pneumoperitoneum)症例の臨床的検討

[演者] 安達 亙:1
[著者] 松下 智人:2, 井村 仁郎:1, 塩澤 秀樹:1, 岸本 恭:1
1:富士見高原病院 外科, 2:富士見高原病院

【背景と目的】
腹腔内遊離ガスは消化管穿孔など外科的緊急性を有する疾患にみられる重要な兆候である.近年の画像診断の進歩により少量の腹腔内遊離ガスの診断が可能となり,外科的緊急性のない腹腔内遊離ガス(nonsurgical pneumoperitoneum:以下NSP)症例を経験する機会が増加した.しかし,現時点でNSP症例の臨床的検討は不十分である.本研究の目的はNSP症例の臨床的特徴を明らかにすることである.
【対象と方法】
過去6年間に腹部CTを行った症例の検討からNSP症例を決定した.NSP症例とは,腹腔内あるいは後腹膜に遊離ガスを認めるが,臨床経過より外科的処置を含む積極的な治療を必要としなかった症例である.NSP症例は20例であり,これら症例の臨床的検討を行なった.
【成績】
過去6年間の腹部CT検査14740件中,腹腔内あるいは後腹膜遊離ガス陽性検査件数は213件(1.45%),154例であった.開腹手術後あるいは内視鏡による穿孔などの医原性の遊離ガスを除いた症例は78例であった.NSP症例は26件20例で,これは全腹部CT検査中の0.18%であった.78例の遊離ガスの原因は,多いものから大腸穿孔24例(30.8%),NSP20例(25.6%),十二指腸潰瘍穿孔10例(12.8%),小腸穿孔5例(6.4%),穿孔性虫垂炎5例(6.4%)と続いた.NSP症例の頻度は,大腸穿孔に次いで高頻度であり,まれな病態ではなかった.
NSP症例中17例(85%)にCT上,腸管気腫症(PI)を認め,これが遊離ガスの原因と推測された.平均年齢は79歳で高齢者に多く女性優位であった.5例に腹膜炎所見を認めたが軽微であり開腹手術は行われなかった.PIの認められない症例は3例で,1例で著明な白血球増多を認めたため開腹手術が行なわれた.腹腔内に異常所見はなく原因不明の遊離ガスであったが積極的な治療の必要はなかった.
【結論】
腹部CT検査中0.18%にNSP症例を認め,大腸穿孔に次ぐ高頻度であった.NSP症例の85%でPIを認め,これが原因と推測された.PIの認められない原因不明例ではNSPの診断に難渋した.NSP症例では腹膜炎所見に乏しい症例が多かった.
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