演題

PM12-6

当院における超高齢者手術の問題点

[演者] 廣重 彰二:1
[著者] 天野 翔太:1, 久保 信英:1, 増田 崇:1, 松本 敏文:1, 川中 博文:1,2
1:別府医療センター 外科・肛門科, 2:別府医療センター 臨床研究部

はじめに)医療技術の進歩によって高度な医療が受けられるようになっていた.しかしそれに併せて医療費も高額になり,概算医療費総額も40兆を超え財政を圧迫している.すでに超高齢社会であるが,今後さらに高齢化が進むとされる.一方低侵襲手術を高齢者に導入することでより安全な手術が提供でき,今後はさらに高齢の患者に対しても医療を提供していく可能性が高い.実臨床において超高齢者に対してどのような手術がされ,どの程度医療費がかかっているか,またその特徴については把握されていない.
対象1)2011年8月から2016年7月までの5年間で当科において手術施行された2048例中,超高齢者(85歳以上)175例(8.5%)を対象とした.
結果1)男性86例,女性89例で性差はなし.転帰は自宅退院101例(57.7%),リハビリを含む転院39例,施設退院22例,併存疾患治療のための転科4例,死亡退院9例(5%)であった.
対象2)自宅退院群(A群101例)と自宅以外退院群(B群65例)の2群間で年齢,性別,ASA,BMI,待機手術か緊急手術か,在ICU日数,術後在院日数,鏡視下手術か否か,当科滞在中の医療費総額(DPCから調査),を検討した.
結果2)性差・BMIに関しては両群間に有意差を認めなかった(0.05< P).年齢はA群87.5歳にたいしB群88.6歳とB群が高齢であった(P< 0.05).ASAは全患者が2以上で何らかの基礎疾患を持っていたがB群が有意に悪かった(P< 0.05).またB群の方が緊急手術の割合が高く,鏡視下以外での手術が多かった(P< 0.05).在ICU日数はA群1.2日に対しB群2.6日と長く(P< 0.01),術後在院日数もA群17.7日に対しB群24.2日で長かった(P< 0.05).当科滞在中の医療費総額はA群が160万円弱であったのに対しB群では250万円超で有意にB群が高かった(P< 0.01).
緊急症例,待機症例の中で比較しても,A群よりB群が有意に高かった(P< 0.01).
まとめ)自宅退院以外となったものは,自宅退院に比べ高齢かつ全身状態が悪いものが多く,緊急手術の比率が高く,鏡視下手術は少なかった.また術後ICU日数も在院日数も多かった.当科滞在中医療費総額も自宅退院以外のものが高かった.
結語)超高齢患者に対して手術を考慮する場合,自宅退院可能とならなければ,滞在中の医療費総額が高価となるだけでなく,転院先でも医療を受けることを考慮すると医療費総額はさらに高額となる.今後真剣にMicro-allocationについて討議すべきと考えられた.
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