演題

PM12-4

当院における90歳以上の超高齢者の腹部緊急手術症例の検討

[演者] 赤石 隆二郎:1
[著者] 小山田 尚:1, 藤原 翔:1, 伊瀬谷 和輝:1, 西村 隆一:1, 山下 洋:1, 阿部 啓二:1, 宮崎 修吉:1, 遠藤 秀彦:1
1:岩手県立中部病院 外科

【背景】
近年,人口の高齢化に伴い,高齢者の外科手術症例の増加がみられ,90歳以上の超高齢者の腹部手術症例の報告も増加している.90歳以上の超高齢者では併存症を有している場合が多く,術後合併症を伴う症例も多いが,救命のために緊急で手術をせざるを得ない状況にもしばしば遭遇する.
【目的・対象】
当院では2013年7月~2016年6月までの3年間に外科の手術症例は4107例であった.そのうち緊急手術は1143例であり,27.8%を占めた.同時期に施行された90歳以上の腹部手術症例は103例であり,そのうち緊急手術は44例と42.7%を占めていた.90歳以上の超高齢者の腹部緊急手術症例44例(41人)を対象として術前併存症,術後合併症,死亡率などについて検討した.
【結果】
44例のうち半数の22例が90歳,91歳の症例であり,また,最高齢は98歳の1例であった.手術適応疾患は,腸閉塞が17例(38.6%)であり,うち,大腸癌が6例,小腸イレウスが11例であった.ヘルニア陥頓が11例(25.0%)であり,うち,閉鎖孔ヘルニアが5例,鼠径ヘルニア,大腿ヘルニアが3例ずつであった.急性胆嚢炎が9例(20.5%),下部消化管穿孔が2例(4.5%),十二指腸潰瘍穿孔や外傷性小腸穿孔,腹腔内膿瘍が1例ずつであった.また,術後出血,腹壁し開などの術後合併症での再手術は2例であった.
術前の併存症は脳血管,消化器,呼吸器,心血管,筋骨格系,糖尿病,腎・尿路,認知症・鬱などに分類した所,心血管系の併存疾患を有する症例が44例中30例(68.2%)に認められた.術前併存症を有さない人数は41人中6例(15%)であった.
術後合併症を来した症例は44例中15例(34.1%)で,誤嚥性肺炎は5例(11.4%)に認められ,うち,2例は死亡に至った.その他は麻痺性イレウス3例,心不全2例,心源性脳塞栓,排尿障害,腹腔内膿瘍,腹壁し開,術後出血が1例ずつであった.
【考察】
超高齢者では併存症や術後の合併症リスクのため待機的に手術を行わない場合でも,救命のために手術をせざるを得ず,緊急手術の割合が多いと考えられる.90歳以上の症例では待機・緊急手術に関わらず術後死亡率が高く,術前併存症がある例や術後合併症例では術後死亡の危険が高いとの報告がされている.当院の検討結果では超高齢者の腹部緊急手術の死亡率は4.5%であり,救命の点では許容範囲と考えられる.しかしながら,術後合併症としては誤嚥性肺炎の頻度が多く,致命的となるため,厳重な管理が必要である.
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