演題

PM12-3

超高齢者における消化器外科緊急手術例の検討

[演者] 志垣 博信:1
[著者] 宮成 信友:1, 水元 孝郎:1, 上村 紀雄:1, 伊東山 瑠美:1, 清水 健次:1, 杉原 栄孝:1, 岩上 志朗:1, 芳賀 克夫:1, 馬場 秀夫:2
1:熊本医療センター 外科, 2:熊本大学大学院 消化器外科学

【背景】近年人口の高齢化に伴い,高齢者に対する外科手術が増加しており,腹部救急領域においても高齢者に対して手術する機会が増える傾向にある.最近では85歳以上の超高齢者に対する手術もまれでは無くなってきており,これら超高齢者における緊急手術症例の特徴について検討した.
【対象と方法】2014年12月から2016年3月までの期間に,当院で緊急手術を行った260例を対象とし,受傷時の年齢が85歳以上の症例を超高齢者群と定義し,85歳未満の症例(対照群)と疾患,併存症の状況,術後合併症,在院日数,術後30日以内の死亡率などについて比較検討した.
【結果】85歳以上の超高齢者症例は49例(19%)であった.主な疾患の分類を比較すると,超高齢者群では絞扼性イレウス(22% VS 11%)や大腸穿孔(12% VS 3.8%)の割合が比較的高い一方で,急性虫垂炎(2% VS 32%)や急性胆嚢炎(14% VS 22%)の割合が低かった.患者背景因子としては,超高齢者群において有意に女性の割合が高く(69% VS 40% P<0.01),ASA-PS3以上の割合が高く(58% VS 15.4% P<0.01),併存症として心疾患を有する割合が高かった(18% VS 2.5% P<0.01).手術因子に関しては,来院時から執刀までの時間,出血量,手術時間に差は認めなかった.術後合併症は超高齢者群に高く発生し(70.8% VS 55% P=0.05),特に肺炎(23% VS 7.4% P<0.01)や胸水(16% VS 3% P<0.01)といった呼吸器合併症が有意に高かった.平均術後在院日数は超高齢者群で有意に長かった(19.5日 VS 10.7日 p<0.01)が,術後30日以内の死亡率(4.2% VS 2.2%)や在院死(3.1% VS 4.1%)に差は認めなかった.
【結語】超高齢者の緊急手術症例は重症な疾患の割合が高く,術前の背景因子も不利な状況が多く,術後合併症の発生率が高い傾向にあった.また,在院日数も長く,術後30日以内の死亡も少なからず存在するが,85歳未満と比較しても差はなく,多くは軽快退院しているため,同等の予後が期待できるものと考えられた.
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