演題

PM12-2

90歳以上の超高齢者に対する消化器外科手術症例の検討

[演者] 木下 春人:1
[著者] 野田 英児:1, 黒田 顕慈:1, 南原 幹男:1, 寺岡 均:1
1:ペガサス馬場記念病院 外科

【背景】近年,人口の高齢化に伴い,高齢者に対する消化器外科領域の手術症例は増加している.特に90歳以上の超高齢者に対する手術症例は増加しており,報告も散見されるようになってきた.しかし,90歳以上の超高齢者はなんらかの併存疾患を有しており,生理機能の低下や栄養状態が不良な症例が多く,緊急手術の割合も高いため,手術の危険性は高いと考えられる.
【目的】90歳以上の超高齢者に対する消化器外科手術の術後合併症発生率と術後30日の周術期死亡率を検討して手術適応と予後を考察した.
【方法】2011年1月から2016年9月に当科で行った消化器外科領域の手術症例33例を対象とし,緊急手術,悪性疾患,併存疾患,ASA-PS,PS,手術時間,出血量,血性ALB値と術後合併症発生率との関連について比較検討した.
【結果】年齢の中央値は92.4歳(90-97歳)で,男性14例,女性19例であった.28例(85%)に併存疾患を認め,内訳は高血圧18例,心疾患12例,脳梗塞9例,認知症7例,糖尿病4例,慢性腎不全3例などであった.疾患は腫瘍性が8例で大腸癌7例,胃GIST1例であった.良性疾患は25例で鼠径ヘルニア5例(陥頓2例),イレウス6例(絞扼性3例),胆嚢炎3例,虫垂炎3例,閉鎖孔ヘルニア3例,臍ヘルニア2例,大腸穿孔1例,直腸脱1例,脳梗塞後遺症1例であった.待機手術は20例,緊急手術は13例であった.術式は腸管切除15例,ヘルニア根治術5例,イレウス解除術3例,胆嚢摘出術3例,虫垂切除術3例などであった.術後合併症は14例(42.4%)に認め,肺炎4例,創感染3例,腸閉塞3例,腹腔内膿瘍2例,腸炎2例,肺塞栓1例であった.そのうち3例(9.1%)が周術期に死亡した.死因としては大腸穿孔術後の腹膜炎が1例,残りの2例は誤嚥性肺炎によるものであった.背景因子の比較では術後合併症群はPSが不良で,手術時間が長く,出血量が多い症例と有意に関連していた.緊急手術の有無,悪性腫瘍,ASA-PS,併存症とは関連を認めなかった.
【考察】90歳以上超高齢者の手術症例は約半数で術後合併症を認めた.手術時間が長く,出血量が多い侵襲の大きい手術では術後合併症の発生率が高くなる.PSが不良の症例も術後合併症発生率が高く,ADLが低下している超高齢者患者の手術適応については特に慎重に考慮する必要があると考えられた.術後の誤嚥性肺炎が周術期死亡の大きな要因となっており,誤嚥性肺炎に対する予防と治療を徹底することが重要であると考えられた.
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