演題

PM11-6

下部消化管穿孔に対する急性汎発性腹膜炎手術後の創管理におけるVacuum Assisted Closure療法の有用性

[演者] 中堤 啓太:1
[著者] 山岸 茂:1, 内藤 亜由美:1, 木村 安希:1, 山田 淳貴:1, 阿部 有佳:1, 山本 晋也:1, 牧野 洋知:1, 上田 倫夫:1, 仲野 明:1
1:藤沢市民病院 外科

【背景】下部消化管穿孔に対する急性汎発性腹膜炎手術後のSSI(Surgical Site Infection)は20%以上と高率に発生する.加えて,SSIは入院期間の延長など,患者の治療経過との関連も示されている.一方,術後の予防的局所陰圧閉鎖療法がSSIの発生を抑えるとの報告が近年散見される.当院では,2011年7月より,下部消化管穿孔に対する急性汎発性腹膜炎手術後の創管理として,VAC(Vacuum Assisted Closure)による局所陰圧閉鎖療法を施行し,遅延一次縫合を行っている.
【目的】下部消化管穿孔に対する急性汎発性腹膜炎手術後管理におけるVAC療法の有用性を検討する.
【対象と方法】2009年4月から2016年11月までに下部消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎手術を施行した61例を対象とした.VAC施行症例:A群(n=45)と一期的一次縫合症例:B群(n=16)の2群に分け,後方視的に比較検討した.A群は,術直後にwet to dry dressingを行い,術後1日目からVACによる局所陰圧閉鎖療法を施行し,創閉鎖が可能と判断した時点で局所麻酔下に遅延一次縫合を行った.B群は,一期的に全層一層または二層縫合で閉創を行った.
【結果】背景因子の比較では両群間に有意差を認めなかった.SSI発症は,A群で2例(4%),B群で9例(56%)と差を認めた(p <0.001).創閉鎖までの日数の中央値は,A群12日,B群45日であり(p =0.05),腹壁瘢痕ヘルニアの合併は,A群4例(9%),B群7例(44%)だった(p =0.002).また,在院死亡は,A群4例(9%),B群2例(13%)と差を認めなかった(p =0.677).生存症例の術後在院期間の中央値は,A群22日,B群28日で(p =0.129),術後在院日数が22日を超えた症例は,A群18例(40%),B群11例(69%)と差を認めた(p =0.025).
【結語】下部消化管穿孔に対する急性汎発性腹膜炎術後の創管理において,VACによる局所陰圧閉鎖療法は,SSIの発生を予防し,創傷治癒を改善することで,患者の治療経過に寄与する可能性が示された.
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