演題

PM11-5

閉塞性大腸癌に対し内視鏡的金属ステント留置術を施行した症例に関する検討

[演者] 大谷 研介:1
[著者] 石原 聡一郎:1, 田中 敏明:1, 吉田 俊太郎:2, 清松 知充:1, 畑 啓介:1, 川合 一茂:1, 野澤 宏彰:1, 渡邉 聡明:1
1:東京大学附属病院 大腸・肛門外科, 2:東京大学附属病院 光学医療診療部

【背景】大腸癌におけるoncologic emergencyの一つに癌性狭窄による腸閉塞がある.2012年より閉塞性大腸癌に対する内視鏡的金属ステント留置術(SEMS)が保険収載され,その有効性を示す報告が認められるようになってきた.
【目的】閉塞性大腸癌に対するSEMS施行の利点および問題点を明らかにする.
【方法】2012年から2016年の当科入院症例のうちSEMS施行例につき,臨床病理学的因子および短期治療成績を検討した.
【結果】対象症例は29例.年齢の中央値は70(48-91)歳,男/女比は16/13例,狭窄部位はSが最も多く18例,次いでRSとTが3例ずつ,RaとDが2例ずつ,Aが1例であった.狭窄長の中央値は3.5(1.0-13.0)cmであった.入院からSEMS施行までの中央値は4日で11例は入院当日に施行されていた.SEMSは全例で成功したが,脱落が2例(1日目と118日目),ステント内腫瘍閉塞が2例(106日目と672日目)に認められた.SEMS施行後の下部消化管内視鏡検査にて24例中13例(54.2%)で全大腸の検索が行われた.今回の検討症例では狭窄部口側に治療を要する悪性病変は認めなかった.手術による腫瘍切除は26例で施行され,残り3例は非手術治療であった.手術による切除までのステント留置期間の中央値は33(11-189)日であった.病期はStageIVが15例(うち3例は非手術)と半数以上であり,IIIb:1例,IIIa:4例,II:9例であった.腹膜播種症例でも可能であれば播種巣切除が施行され,19例にて治癒切除が可能であった.26例の腫瘍切除後に消化管吻合が施行されなかったのは,ハルトマン手術が施行された1例のみ(吻合率96.2%)で,吻合部口側にストマ造設されたのが2例であった(非ストマ率88.5%).切除例において病理学的には,癌の最大径の中央値は5.5(3-12)cm,組織型はtub2:20例, tub1:5例, muc:1例,深達度はSS:11例, SE:9例, SI:6例,リンパ節転移はN0:10例, N1:10例, N2:5例, N3:1例であった.術後合併症はClavien-Dindo分類でGrade IIのものが6例(23.1%)に認められた.
【結語】大腸癌腸閉塞に対するSEMSは有効な術前腸管減圧手段であり,腫瘍切除後の腸管吻合のリスクを軽減し,ストマ回避に有効であると考えられた.術前に狭窄部の口側大腸の検索を可能にするという意義もあると考えられた.予後についてはさらなる検討を要する.
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