演題

PM11-3

Oncologic emergencyに対する当科手術戦略についての検討

[演者] 村上 壮一:1,2
[著者] 七戸 俊明:1, 岡村 圭介:1, 土川 貴裕:1, 中村 透:1, 倉島 庸:1, 野路 武寛:1, 浅野 賢道:1, 中西 喜嗣:1, 平野 聡:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅱ, 2:北海道大学大学院 医学教育推進センター

【背景】oncologic emergency(以下OE)とは,腫瘍に関連する病態により発症後数時間から数日以内に治療を行わなければ致命的あるいは不可逆的な機能障害を起こし得る状態と定義され,消化器外科領域においては「出血」「穿孔」「閉塞」「感染」により緊急手術を行う状態に対して使われる場合が多い.教室ではOEに対し「生命維持」を主眼におき,可能であれば「腫瘍の根治」を目指す方針で手術を行っている.教室の過去の症例を検討し,治療方針の妥当性について検討する.
【方法】2009より2016年に教室においてOEと判断され緊急手術となった,原発腫瘍14例,再発腫瘍7例,計21症例の臨床データを後方視的に検討した.
【結果】原因となった腫瘍は,胃癌10例(原発5例,腹膜播種再発5例),大腸癌7例(原発5例,腹膜播種再発1例,抗癌剤治療の副作用1例),膀胱癌2例(腹膜播種再発2例),胃GIST1例(原発),腎癌(腹膜播種再発)がそれぞれ1例であり,大腸癌2例(いずれもstage IIIA),胃癌の1例(stage IB)を除いた18例はいずれもstage IVであった.OEと判断された病態については,閉塞8例,出血7例,穿孔6例であり,発症から手術までの日数の中央値は,閉塞12日,出血2日,穿孔1日であった.また術前ショックは出血2例,穿孔1例に認めた.原発腫瘍によるOE12例のうち治癒切除となったのは大腸癌2例,胃癌1例のみであり,非治癒切除となった症例の要因は,肝転移4例,高度局所進行2例,播種2例,切除不能転移リンパ節1例であった.治癒切除全例を含む14例が自宅退院もしくは転医後自宅退院したが,非治癒切除症例のうち3例が在院死亡,4例がホスピスなどに転医し退院せずに死亡した.
【考察・結論】高度進行腫瘍については,十分な術前精査と切除可能性を含めた慎重な手術適応及び術式の検討が必要であるが,OEに陥った場合これが不十分となる事が多い.しかし教室の過去の症例の検討ではOEと判断された症例のほとんどは切除不能な高度進行症例であり,「生命維持」を主眼に置いた縮小手術で十分であった.また根治手術可能な3例についても縮小手術ではあるが治癒切除を行う事が出来た.全症例の2/3の症例を自宅退院させることが可能であったことよりも,教室のOEに対する治療方針は概ね妥当であると考えられる.
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