演題

PM11-1

癌化学療法中に発症した消化管穿孔症例の検討

[演者] 池田 拓人:1
[著者] 西田 卓弘:1, 和田 敬:1, 濱田 朗子:1, 宮崎 康幸:1, 武野 慎祐:1, 田代 耕盛:1, 中尾 大伸:1, 七島 篤志:2
1:宮崎大学医学部 消化管・内分泌・小児外科学, 2:宮崎大学医学部 肝胆膵外科学

【はじめに】分子標的治療薬を含めた抗がん剤の発達や,内視鏡的胆道ドレナージなどの技術の進歩によって進行癌の生命予後は改善している.しかし近年,播種病巣による腸管狭窄に伴うイレウスや穿孔の症例にたびたび遭遇するようになってきた.化学療法による副作用や癌の進行もあり,全身状態が不良な場合が多く,予後も勘案すると緊急手術の適応や術式に迷う症例がある.当科で施行した癌化学療法中に発症した消化管穿孔に対し施行した手術術式,周術期合併症および短期予後について検討した.【対象と方法】2015年から2016年までの2年間に癌化学療法中に消化管穿孔を発症し,緊急手術に至った症例は5例であった.年齢は平均で63.4歳(33-77歳),男女比は5:1,癌腫は,胃癌2例,大腸癌1例,膵癌2例であった.原発巣に対する施行術式は 腹腔鏡下胃全摘術,横行結腸人工肛門造設術,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,膵体尾部脾合併切除術,1例は手術既往なしであった.【結果】穿孔部位は十二指腸穿孔1例,回腸穿孔1例,大腸穿孔3例と大腸穿孔が多かった.発症前に施行されていた化学療法はmFOLFOX+Bmab,FOLFIRI+Bmab 1例,SOX, S-1, RAM+PTX 1例,FOLFIRINOX,Gem+nabPTX 1例,SOX 1例,Gem+nabPTX,S-1 1例と1次治療中1例,2次治療中3例,3次治療中1例であった.施行した術式は穿孔部閉鎖+大網被覆術1例,回盲部切除+人工肛門造設術1例,回腸人工肛門造設術2例,Hartmann手術1例であった.手術時間の平均は164.3分,出血量150mlであった.全例救命は可能であったが,消化管出血1例,誤嚥性肺炎1例,創感染+腹腔内膿瘍1例と術後合併症を来たした.退院もしくは転院までの入院期間は平均で45.8日であった.術後フォロー期間は平均69日と短いが,1例は術後47日目に原病死していた.【考察】播種病変等によるイレウス症状は時に麻痺性イレウスとの鑑別が困難であり,担当する診療科と密接な連絡をとり早期の治療方針をたてる必要がある.また腹膜播種は複数個所の腸管に狭窄が生じており術後早期に新たな狭窄が生じることも多い.ほとんどの症例にストーマ造設が行われており,予後を考えると手術の適応に悩む症例が多いが症例毎に慎重に検討し,できるだけ早期にイレウスの発症を予見し,発症した場合の治療方針について患者を含めて決定しておくことが重要と思われた.
詳細検索