演題

PM10-5

汎発性腹膜炎手術症例における診療点数とsarcopeniaによる救命予測の検討

[演者] 久保 信英:1
[著者] 川中 博文:1,2, 天野 翔太:1, 増田 崇:1, 廣重 彰二:1, 松本 敏文:1, 武内 秀也:1, 矢野 篤二郎:1
1:別府医療センター 外科・肛門科, 2:別府医療センター 臨床研究部

【はじめに】
重症汎発性腹膜炎手術症例では高度集中治療を要し,高額な医療費を投入し救命することを目指すが,中には高齢者や術前から臓器不全等の基礎疾患を有する症例があり,途中で救命困難と感じた場合は,適切な医療資源の分配への配慮として,どこまで治療を継続するべきか判断に迷うことがある.また,術前のsarcopeniaの有無は全身状態をよく反映する簡便な指標として有用である.今回,当科で汎発性腹膜炎に緊急手術を施行した症例で診療点数とsarcopeniaの有無で救命予測ができないか検討した.
【対象】
2010年1月から2016年12月に当科で汎発性腹膜炎に緊急手術を施行した79例
【検討項目と方法】
死亡例と生存例で年齢,性別,ASA,穿孔部位,診療点数,Sarcopeniaの有無について検討した.
※Sarcopenia:第3腰椎下端におけるCT断面像で骨格筋量を測定(cm2)し身長の2乗(m2)で補正した値(cm2/m2)で判断した.男性は43.75cm2/m2,女性は41.10 cm2/m2以下をsarcopeniaありと判断した.Harimoto et al. BJS 2013
【結果】
死亡例と生存例について年齢は81.7±10.2歳と67.4±17.1歳(平均±SD)(P=0.01),性別(男性割合)は4/9(44.4%)と34/70(48.6%)(P=0.81),ASAは3.0±0.5と2.6±0.8(平均±SD)(P=0.11),穿孔部位(大腸の割合)は5/9(55.6%)と33/70(47.1%)(P=0.63),診療点数は70.2±35.7点と27.8±23.9点(平均±SD)(P<0.01),Sarcopeniaの割合は7/9(77.8%)と37/70(52.8%)(P=0.15)であった.診療点数と救命の有無に関してROC曲線を作成しcutoff値を45万点に設定した.診療点数が45万点に到達した時点で退院できていない症例(n=21)とそれ以外の症例(n=58)の死亡率は8/21(38.1%)と1/58(1.7%)で,退院できていない症例で有意に高率であった(P<0.001).診療点数が45万点に到達した時点で退院できていない症例で,さらにsarcopeniaを有する症例では死亡率が6/10(60.0%),sarcopeniaが無い症例で2/11(18.2%)とsarcopeniaを有する症例で有意に死亡率が高率であった(P=0.04).
【考察】
診療点数が45万点に到達した時点で退院できていない症例で,かつSarcopeniaがある症例では死亡率が有意に高率であり,家族へ十分な説明が必要であると考えられた.緩和治療への移行などを希望される場合もあると考えられた.
【結語】
診療点数45万点とSarcopeniaの有無は重症汎発性腹膜炎症例において,医療資源をどこまで投入するかの一つの判断材料になる可能性が示唆された.
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