演題

再発形式から見たSiewert TypeⅡ 食道胃接合部腺癌の治療戦略の検討

[演者] 杉田 静紀:1
[著者] 木下 敬弘:1, 海藤 章郎:1, 砂川 秀樹:1, 渡邊 将広:1, 寺田 参省:1, 大幸 宏幸:2, 藤田 武郎:2
1:国立がん研究センター東病院 胃外科, 2:国立がん研究センター東病院 食道外科

【はじめに】食道胃接合部癌に対する治療方針は長径4cm以下の腫瘍に対して暫定アルゴリズムが示されているが,アプローチ法,上縦隔リンパ節郭清範囲,術前術後の化学療法など,議論の余地が残る部分が多い.当院では基本的には暫定アルゴリズムに従い治療方針を決定しており,扁平上皮癌,もしくは食道浸潤が3cm以上の腺癌では3領域郭清を伴う食道亜全摘を,残胃が1/2以上残せる症例では噴門側胃切除を選択している.また,2010年より症例に応じて十分な説明の元,腹腔鏡手術を導入している.【目的】当院のSiewert type II 食道胃接合部腺癌(AEGII)の治療方針の妥当性,再発リスク因子を明らかにすること.【対象と方法】2008年1月~2016年11月に当科で根治的切除術として胃全摘(TG),噴門側胃切除(PG)を施行したAEGII症例を対象とし,再発の有無,形式,リスク因子等の検討を行った.術前化学療法を行った症例は除外した.【結果】手術を施行した87例のうち,8例の術前化学療法例を除く79例で検討した.観察期間中央値32(0-80)ヶ月,年齢68(37-80)歳,男/女=61/18,PGを53例(67.1%)に施行し,腹腔鏡手術を45例(57.0%)に行った.pStageI/II/III:42/12/25であり,術後補助化学療法を31例(39.2%)に施行した.術後再発を14例(17.7%)に認め,無再発生存期間中央値は30(0-80)ヶ月であった.再発形式は腹膜播種4例,胸膜播種2例,肝転移3例,傍大動脈リンパ節4例,遠隔リンパ節(肺門,鎖骨上)2例であり,縦隔リンパ節再発はNo.106recL:1例(pT3N2M0,ly2v2,OTG),No.110:1例(pT2N1M0,ly2v2,OPG)に認めた(重複含む).再発のリスク因子は,単変量解析ではリンパ管侵襲(P=0.002),静脈侵襲(P<0.001),pT2以深(P=0.001),リンパ節転移あり(P<0.001),腫瘍径40mm以上(P=0.04),食道浸潤30mm以上(0.027),Grade3以上の合併症あり(P=0.014)で有意差を認めたが,多変量解析の結果,リンパ管侵襲あり(P=0.013, OR;8.927(1.573-50.660)),リンパ節転移陽性(P=0.011, OR;17.324(1.945-154.3))が独立した再発リスク因子であった.【結論】当院で行っているAEGIIに対する治療戦略は,領域リンパ節再発を認めず,縦隔リンパ節再発率も低率のため妥当である可能性が示唆された.また,リンパ管侵襲やリンパ節転移を認める症例は再発のリスク因子であり,術後の補助化学療法など集学的治療が望まれる.
詳細検索