演題

PM10-1

複雑性虫垂炎に対する待機的虫垂切除術と緊急虫垂切除術の総入院期間と治療成績の検討

[演者] 原 敬介:1
[著者] 山田 岳史:1, 小泉 岐博:1, 進士 誠一:1, 横山 康行:1, 高橋 吾郎:1, 岩井 拓磨:1, 武田 幸樹:1, 太田 恵一朗:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科

【背景】複雑性虫垂炎(Complicated Appendicitis, CA)に対する緊急虫垂切除術(Emergency Appendectomy, EA)は術後の合併症頻度が高いため,合併症頻度を減少させることを目的として待機的虫垂切除術(Interval Appendectomy, IA)が行われるようになった.しかし,IAでは2回の入院を要し,また初回保存的加療の入院期間が長い症例もあり,一概にEAより優れているとも言い難い.本研究では後方視的にIAとEAの入院期間,手術時間,合併症発症率を比較することで,両者の適応を検討した.【対象・方法】2012年1月から2016年11月までに初診時CTでCAと診断し手術を施行した161例を対象としIA群,EA群に分類した.IAを企図した際の保存的加療に要した期間と手術に要した期間を総入院期間とし,EAの入院期間と比較し検討した.外来にて保存的加療を施行した症例では入院日数を0日とした.【結果】IA群は51例,EA群は110例であり,IA完遂例は36例(70.6%)であった.総入院日数の中央値はIA群が11.0日(0-38),EA群は8.0日(3-39)日でありEA群で少ない傾向を認めた(p=0.079).術後合併症はIA群では2例(3.9%)であったのに対して,EA群は41例(37.2%)でありIA群で有意に少なかった(p<0.001).手術時間はIA群92分(41-173),101分(34-209)と差を認めなかった(p=0.762).出血量はIA群0ml(0-480),EA群18ml(0-1390)とIA群で有意に少なかった(p=0.002).術後在院日数はIA群4日(2-13),EA群7日(2-38)でありIA群で有意に短かった(p<0.001).IAを企図したが保存的治療が成功しなかった15例と成功例を比較したが,虫垂径,白血球数,CRPに差は認めなかった.15例中1例にSSIを認めたが,そのほかの合併症は認めなかった.【考察】IAはEAと比較し,術後合併症発症率が低く,出血量が少なく,術後入院日数が少ないという利点がある.一方30%の症例で保存的治療が成功しないという問題点があり,どのような症例でIAが成功するのかを明らかにする必要がある.しかし,保存的治療が成功しなくても術後合併症の頻度は少なかったため,IAを企図するデメリットは少ないと考えられた.また,総入院期間が長くなることから,CAであっても術後合併症発症の危険が少ないと判断される症例ではEAを行うべきであると考えられ,CAの中でどのような症例が術後合併症のリスクが少ないのかを明らかにする必要がある.
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