演題

PL11-6

腹腔鏡下弓状靱帯切除にて血流が改善し得た正中弓状靱帯症候群の1例

[演者] 末松 友樹:1
[著者] 森田 晃彦:1, 山岸 俊介:1, 高橋 深幸:1, 兼松 恭平:1, 齋藤 洋之:1, 中山 真緒:1, 深堀 道子:1, 若林 和彦:1, 伊藤 豊:1
1:災害医療センター 消化器・乳腺外科

【はじめに】,正中弓状靱帯症候群(MALS)は腹腔動脈(CA)起始部が正中弓状靱帯に圧迫され狭窄を来す疾患で,代償的に膵十二指腸動脈アーケドの血流増加することで動脈瘤を生じることがある.今回MALSに伴う動脈瘤出血を来した症例に,腹腔鏡下に弓状靭帯切除を施行したので報告する.
【症例】50歳女性.食後の突然の上腹部痛があり内科受診したが経過観察となった.数日後嘔吐や腹部膨満も出現し再受診した.造影CT検査にて十二指腸下行脚から水平脚の壁肥厚と通過障害を認め,近傍の上腸間膜動脈(SMA)の分枝には7mm大の仮性動脈瘤を認めた.またCA根部で正中弓状靱帯圧迫を疑う所見があり,MALSによりSMAからの求肝性血流が増大したことで仮性動脈瘤を形成したと考えられた.血管造影検査では,CA造影にて血流低下あり大動脈(Ao)への逆流が認められた.SMA造影で求肝性血流により発達した膵頭部血管を認め,総肝動脈や脾動脈も描出された.瘤とその前後不整血管のcoil塞栓とisolationを施行した.その後経過良好で,一度退院後,再動脈瘤形成予防に正中弓状靱帯切除術を行う方針とした.手術は腹腔鏡下にて5ポートで施行.膵上縁にて左胃静脈は切離.左胃動脈を同定しその立ち上がりからCA前面・中枢方向へ剥離を進めた.Crusも一部切開しCA~Ao前面を十分に露出するように剥離し,正中弓状靱帯を確実に切離した.血管鞘を露出する層までの剥離は行っていない.術直後の血管造影検査ではSMAからの求肝性の血流は残存しており,CAからの順行性の血流は吸気・呼気時ともに少なかった.術後2か月で血管造影施行したところ,SMAから肝動脈への血流はなくなっており,CAから総肝動脈を介した胃十二指腸動脈への遠肝性血流を吸気・呼気時ともに確認できた.またCA根部の狭窄も解除していた.
【結語】腹腔鏡による拡大視効果で安全にCA~Ao前面に到達でき,弓状靱帯を確実に切除できた.術後2か月後の血管造影で血流改善を確認できた画像を供覧する.
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